フクジュソウをどう撮るか?(鎌倉・後編) | 首都圏生きものめぐり ~関東の動植物に会いにいくぶらっと散歩~

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雑誌編集者である著者が自ら首都圏の公園や自然地に足を運び、そこで出合った生きものの情報をお届けします。
都会の印象が強い東京にも、カワセミやタカ、多くの昆虫が暮らしています。「首都圏ってこんなに生きものが多いのか」と驚かされる情報が満載です。

鎌倉編の後編は、主に鎌倉駅周辺を中心にご紹介。

北鎌倉駅から歩いてくると道中で鶴岡八幡宮の近くを通るので

いつも通り池を覗いてみました。

ユリカモメは海岸にでも出張しているのか不在の様子

いたのはオナガガモヒドリガモがほとんどでした。

 

 

 

 

 

あと、シロバトも多数。

この写真、結構な近距離まで近づいて

地面に這いつくばるくらいの定位置から撮影しています。

人慣れしているシロバトだから比較的簡単に撮れましたが

野鳥だとなかなかこうはいきません(スズメでさえも)。

 

 

 

 

 

 

大巧寺を通過して「鎌倉歩き」のツアーでもよく行く妙本寺方面へ。

道中立ち寄った本覚寺では、木の根元から生えるボケ(木瓜)を発見。

これは自然と生えてきたのか、意図してこんな所に植えたのか……。

 

右は妙本寺境内の散策路です。前編でコケについて触れましたが

シダもまた鎌倉の緑を支える重要なコンテンツと言えます。

いずれも日陰で湿った環境を好むため

起伏と樹林の多い鎌倉は生育に適しているようですね。

 

 

 

 

 

 

妙本寺のウメ(左)と、山間部に位置する安国論寺(右)。

日なたもあれば日陰もあり、高台あれば谷間あり、

環境が実に多様であることがわかります。

 

 

 

 

 

 

まれに境内や街路沿いに生えているプリムラ(左)ですが

園芸店には色々な花形・色のものが売られています(右)。

サクラソウもプリムラの仲間ですが、あれが咲くのはご存知の通り春。

鎌倉は立地的に生育環境ではないため、

自生のものは残っていないと思われます。

(サクラソウは湿地環境を好む)

 

 

 

 

 

一旦ここで鎌倉駅に引き返し、江ノ電に乗車して長谷駅へ。

長谷寺のウメや河津桜、フクジュソウを撮りに行きましたが

その前に収玄寺にも立ち寄りました。

大きなお寺ではないですが、ここにも早春期の花が多数。

長谷駅から近い上に入館料が無料なので、

ちょっと立ち寄るには丁度いいかもしれません。

 

 

 

 

 

地蔵様の上に断りなく乗っかるムクドリ

罰当たり……といいたいところですが

神さま仏さまはあくまで人が作った概念なので

鳥にとってみれば「知るか」という感じなのかもしれません(爆)

 

 

 

 

 

 

さてさて、ある意味本日のメインである長谷寺へ。

名物のしだれ梅はこの時まだほとんど咲いていませんでしたが

白梅や河津桜はちょうど開花期。メジロ(右)も来ていました。

 

ちなみにこのメジロがとまっているのは河津桜。

4月になると、今度はソメイヨシノの方に引っ越します。

 

 

 

 

 

こちらはウメに来たメジロ。

くちばしの付け根が黄色く染まっているのは

恐らく花粉が付着したためと思われます。

 

メジロは舌の形状が特殊なため

あまり花を傷つけることなく効率的に蜜を舐め取れるとか。

花の小さいウメで吸蜜できるのもそのためでしょうかね。

 

 

 

 

 

長谷寺のコケ庭。

水路とニシキゴイもまたよく合います。

とはいえ、この角度からでは芝生に見えるかもしれませんが……↓

 

 

 

 

 

先程のシロバトではないですが、低位置から撮るとこんな感じ。

小さいものがたくさん集まっているのが苦手な方はサーセン(棒)

 

コケも形のバリエーションが豊富です。

この多様さは高温多湿な日本ならではらしいので

結構外国人のファンが多いと聞いたことがあります。

 

 

 

 

 

長谷寺のフクジュソウ

基本的にこの花は真上から向き合って撮るものなのですが

より地植えっぽさをアピールするべく、

低位置・真横のアングルから撮影してみました。

奥の方にぼんやり見える花は、河津桜とウメです。

 

 

 

 

 

 

せっかく長谷まで行ったので、ついでに光則寺にも。

まだマンリョウの実が残っていました。

西日の当たらない木陰に植わっており、

日陰を好むマンリョウには良い環境といえます。

 

 

 

 

 

光則寺にはセツブンソウも咲いていました。

ただ、特に案内は出ていない上に

知っての通り小さくて目立たない花なので

じっくり観察していないと見落とす可能性が高いですね……。

 

この花はフクジュソウよりも前倒しに花期が来るため

残念ながらもう最盛期は過ぎてしまっているかもしれません。

 

 

 

 

 

光則寺の名物(?)であるクジャク

人があまり来ないためか暇そう。

 

なお、クジャクは生息地のインド周辺では

コブラすら食らう獰猛な鳥。

そのため、檻も頑丈に作られています。

間違えても網目から指を突っ込んではいけません(戒め)

 

 

 

 

 

 

再び鎌倉駅方面に戻り、今度は英勝寺へ。

かなり境内の広いお寺で長時間滞在できます。

昨年秋の「鎌倉歩き」の際にも訪問しており

萩のトンネルをくぐりましたが、今はもちろんナシ。

 

フクジュソウ二ホンスイセンが数株確認できました。

 

 

 

 

 

前編からしつこくコケの話をしていますが

寺社の境内のみでなく、こうした車道沿いでも

独特の風景を造っています。(黄色いのはスイセンです)

 

この斜面、地表が露になっているか、

写真のようにコケむしているか、

それとももっと背の高い草本植物で埋まっているか……

想像力を働かせてみましたが、やっぱコケが一番しっくり来るかも。

(バッタやカマキリにとっては草本でもっさりしている方がいいのでしょうが)

 

 

 

 

 

海蔵寺。ここも昨年秋の「鎌倉歩き」で訪れています。

やはりマンリョウの実がまだ残っていました(写真右下)

 

 

 

 

 

フクジュソウとマンリョウのある風景

 

 

 

 

 

もういっちょ(別角度から撮影)

 

所感として、フクジュソウもむき出しの土壌より

こういうコケに覆われた中に生えているのがマッチする気がします。

(英勝寺の株は周りが土むき出しです)

なお、自生のフクジュソウというものを先日某所で観察したのですが

関東では落ち葉の積もる雑木林(しかも山奥)に生えることが多く

こういう場所に自生するのかどうかは不明です。

一応、それなりに湿気のある環境を好むらしいので

何かしら関連性があるような気が……しないでもない(弱気)

 

 

 

 

 

夕暮れ時、御谷(おやつ)に現れたモズ♀

海蔵寺からですと歩いて行ける距離なので

帰る前にちょっと見にいきました。

しかし、御谷で撮れる鳥というと本命はやはり……↓

 

 

 

 

 

この日も観察できました。ノスリです。

毎度ほぼ同じ辺りの上空を飛んでいますので

御谷または八幡宮裏手の森のどこかに棲み処があるのでしょう。

それほど珍しい鳥というわけでもないですが

やはり(トビ以外の)猛禽に会えるというのはいいものです。

 

 

最後になりますが、この日の訪問先を纏めますと

円覚寺→東慶寺→浄智寺→明月院→建長寺→鶴岡八幡宮→大巧寺→

→本覚寺→妙本寺→常栄寺→安国論寺→収玄寺→長谷寺→光則寺→

→英勝寺→海蔵寺→御谷&もう1回鶴岡八幡宮

撮影した写真の枚数は848枚でした。

 

 

 

……仕事9割とは言え、もう暫くご勘弁願いたいところです(汗)

 

 

 

 

【2/7 鎌倉で撮影した生きもの】

鳥類・・・アオサギ、アオジ、エナガ、オオバン、オナガガモ、カルガモ、シジュウカラ、トビ、ノスリ、ハクセキレイ、ヒドリガモ、ムクドリ、メジロ、モズ、ヤマガラ

その他・・・タイワンリス

 

★生きもの探索ツアー開催に向けて準備中! 2021年4月開始予定です。

 ご期待ください。m(_ _)m