1日で18ヶ所の寺を回った日の話(鎌倉・前編) | 首都圏生きものめぐり ~関東の動植物に会いにいくぶらっと散歩~

首都圏生きものめぐり ~関東の動植物に会いにいくぶらっと散歩~

雑誌編集者である著者が自ら首都圏の公園や自然地に足を運び、そこで出合った生きものの情報をお届けします。
都会の印象が強い東京にも、カワセミやタカ、多くの昆虫が暮らしています。「首都圏ってこんなに生きものが多いのか」と驚かされる情報が満載です。

仕事で早春期の鎌倉のリサーチ・撮影をしておく必要があり、

朝の9時前から北鎌倉入りした日の記録です。

あまりにも長いので前後半に分けさせていただきます。

 

感染症云々についてはもちろん警戒しておりましたが

季節は新型コロナや人の都合なんぞに関係なく

勝手に目くるめく変化していき

それに呼応して植物の見頃もどんどん移り変わるので

ピンポイントでこの時期に行かざるを得なかったと言えます。

今の地球にはまだ回古鏡(かいこきょう)は存在しないので。

(気になる方はキテレツ大百科で検索してください)

 

梅の見頃にはやや早かったのですが、

各種キンポウゲ科の花はちょうどこの時期がベスト。

そういう意味でも、時期をずらしようがありませんでした。

 

 

 

 

 

 

最初に訪れたのは円覚寺。北鎌倉駅の目の前で、

恐らく鎌倉市内の各寺社の中では一番アクセスしやすい寺です。

3~4分咲きだったウメにメジロが飛来し、吸蜜していました。

 

前にも書いたかもしれませんが「梅に鶯(ウグイス)」は恐らくガセ。

ウグイスが梅で吸蜜することは基本なく、メジロの誤認とされています。

 

 

 

 

 

円覚寺をさらに奥に進むと、こんなコケ庭に到着。

コケのじゅうたんに仏像が乱立する様は

洗練されたデザインとは程遠い一方で

いわゆる「わび」「さび」に満ちた空間と言えます。

 

 

 

 

 

左手前に咲いている黄色い花は

恐らくマンサクです。(サンシュユと誤認しがち)

 

 

 

 

 

 

珍しいものはあまり観察できませんが

ヤマガラ(左・写りが悪くて失礼)やシジュウカラ(右)など

コモン枠の鳥は結構な数が観察できます。

とりわけ今年は冬鳥に限らず野鳥の数が多い(気がする)ので

生きもののいる環境を実感しながら寺巡りできるのが嬉しいポイントです。

 

ただ、来年がどうなるかは定かではないのですが……。

 

 

 

 

 

円覚寺の次は、何度かご紹介した東慶寺へ。

山野草が多数植栽されているこのお寺ですが

ここで観察できるのは「オキナグサ」など

もう少し春本場にならないと咲かない花が多いため

2月中旬時点ではまだ最盛期とは言い難いものがあります。

 

それでも、写真のような原種シクラメンなど

国内外の様々な植物を取り入れて

季節ごとに何かしらの植物で魅せる試みがなされています。

ちなみに原種のシクラメンは非常に背丈が小さく、目立ちにくいので

探す際には足元をよくチェックする必要があります。

その分、見つけた時の感動は一入で、

山(石砂山など)で山野草を見つけた時に通じるものがあります。

 

 

 

 

 

 

こちらは浄智寺。まだスイセンが咲いていました。

左の二ホンスイセンは甘く爽やかな香りが人気ですが

右の星形をしたフサザキスイセンは少々アレな臭いがするので

好みが分かれる……というより大抵の方は多分嫌います(汗)。

ちなみに自分の知る限りで最も臭かった物体は先日銚子漁港で撮ったエイの死体です

 

 

 

 

 

浄智寺の竹林

四季を通じて変わらない植物風景です。

やや下の視点から撮影しています。

 

 

 

 

 

浄智寺にはフクジュソウの咲いている場所もあります。

一ヶ所だけですが固まっているので、すぐ見つかるはずです。

 

 

 

 

 

低い位置から撮影するとこんな感じ。

右の方にクリスマスローズがありますがマダツボミ。

どちらもキンポウゲ科の植物で早春期に咲く花ですが

ニゲル系の品種を除き、クリスマスローズの方がやや遅咲きです。

 

 

 

 

 

 

境内で遭遇したアオジ(左)と、

1株だけ咲いていたプリムラの仲間(右)です。

鎌倉の寺社境内には花の咲く草本植物が多いですが

あまり極端に「自生種」にはこだわっていないようで

こうした楚々として咲く花もよく観察できます。

 

実際、外来種関連に喧しい私のようなタイプの人間はともかく

一般層から見て違和感を感じるようなこともありません。

さすがに原色系のチューリップで花畑を作れば批判の雨あられでしょうが

和の雰囲気を下手に壊すような植栽はしていないようです。

 

 

 

 

 

あと、鎌倉の庭園を語る上で欠かせないのが

上でもちらと触れた「コケ」です。

苔むした岩がよいアクセントになっているのみならず

ちょっと背丈が高かったりと、品種のバリエーションも豊富。

極端に低い視点から見つめてみると、新世界(?)が広がります。

 

 

 

 

 

 

4つ目の訪問先は明月院。言わずと知れたアジサイの名所ですが

この時期はまだ閑散としており、人もまばらです。

 

鳥のエサ台があるのですが、時折招かれざる客(右)が

勝手に侵入してきて餌を貪っていることがあるのがミソ。

 

 

 

 

 

明月院は他の寺社と比べてクリスマスローズの数が多く

岩屋の前の日陰に多数確認できました。

この花は冬の園芸植物として人気が高いですが

俯き加減に咲くカタクリのような佇まいから

日本人には概ね好評らしく、専門ナーセリーも複数存在します。

 

あと、バラと同じく色・形が豊富で品種改良も盛ん。

加えて花の少ない(と言われる)時期に咲く花としては

インパクトが大きく美しいため(ついでに日陰にも強いため)

東京都内のビルの広場等でもよく見られます。

 

 

 

 

 

 

北鎌倉界隈から鎌倉駅方面に向かう途中、

建長寺にも立ち寄りました。

石碑の前にフクジュソウが植えられていましたが

「お供え」みたいなものなのでしょうか?

 

後編では鎌倉駅周辺の記録をお届けします。

訪問した全ての寺社の写真を掲載すると(あと13ヶ所もある)

それだけで容量オーバー(?)になってしまうため

かなり掻い摘んで、花と鳥に関連する写真を基本にお送りします。

 

 

 

<後編に続く>