おみょうにち劇場 -7ページ目

「リピート」のススメ

【kate】「大人買いのススメ」に続く、オススメスタイル第2段です。最近「うまいもの」の話題が多かった三陸ホヤ子さん、観劇の極意の話題で本領発揮です。

【ホヤ子】
私は大学時代から芝居を観るようになったのですが、若いときと今とでは、芝居の楽しみ方が違ってきたなあと思うことがあります。

若いときは、どちらかというと「たくさんの芝居を観たい」と思っていました。
同じお金を使うなら、違う芝居をたくさん観ようと思っていました。
しかし最近は、同じ芝居を何度も見返すことも多くなってきたなあと思います。

東京に出てきて芝居を観る機会がますます増えましたし、東京では一つの芝居の公演期間が長いということもあると思いますが、きっと芝居の味わい方自体が若い頃とは変わってきているのだろうな、と思ったりします。

リピートの最高記録は、昨年の「レ・ミゼラブル」。ひと夏で27回観ました(笑)。「そんなに何回も観て、何が面白いの? 全部一緒じゃないの?」と呆れ気味に聞かれることもありますが、全部違います!

舞台に出ている人の数だけ、その日、その瞬間の気持ちやテンションやコンディションがあるわけです。
同じ芝居をやっているように見えても、内実は全部違うわけです。
それが舞台上で複雑に絡み合って、毎回の芝居ができていくわけです。

お客さんのノリというか、劇場全体の雰囲気によっても、舞台上の雰囲気が変わってくるわけです。
回を重ねるごとに、役者やスタッフのパフォーマンスも円熟していくわけです。
初日から千秋楽までの間に、上演されているドラマとは別のドラマが、劇場全体で繰り広げられている…。

まさに、お芝居は生き物で、成長していくものだと実感できるのです。
それだけでも、リピートする甲斐があると思えるのです。
何度も同じ芝居を観続けることで、芝居が成長し円熟していく過程に立ち会えるって、素晴らしい贅沢だなとしみじみ感じます。

いささか懐は痛みますが、その分、いやそれ以上に、心が満たされるのです。
レミゼはちょっと異常でしたが(笑)、気に入ったお芝居は、3~4回は観てしまいますね。
回を重ねるごとに、どんなふうに変わっていくのかを見届けたくなるお芝居に出会えること、それが私の幸せです。

もちろん、シェイクスピア・カンパニーのお芝居もその1つ。今までも、その幸せを何度も感じさせてもらいました。今回の東京公演は3回ですが、それぞれの回、舞台上でそして客席で、どんな化学変化が起きるのか…とても楽しみです。

【kate】ひと夏で27回とはびっくりですね?・・・大丈夫。シェイクスピア・カンパニーの東京公演は全部で3回です!

シェイクスピア・カンパニー東京公演
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中村ハルコさんの写真集


8月24日は、中村ハルコさんの待望の写真集の発売開始日で、仙台では記念イベントが開催されていました。

ハルコさんはシェイクスピア・カンパニー主宰の下館先生の奥様で、残念なことに3年前若くして他界されましたが、生前は写真家として活躍し、たくさんの素晴らしい作品を残しました。

下館先生はよく、「僕はカンパニーを、ハルコと作ったようなものだ」と話しています。
「東北弁でシェイクスピアを上演する劇団を作る」という奇想天外な発想を後押しし、その作品や制作プロセスを一番楽しんでくれたパートナーでいらしたのだと思います。

美しく、優しく、太陽のような女性でした。
ハルコさんというファインダーと通すと、身近な事柄から地球の裏側の出来事までが、純粋で、ユーモラスで、躍動的に見えてきます。

・・・いえ、そのパワーを言葉で説明することは難しい。ぜひ実際にご覧になってください。 (kate)

写真集のご案内

シェイクスピア・カンパニー東京公演
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昭和のお祭りの記憶

ガダエビ

【kate】マデーニの故郷は、宮城県は登米郡で、盆、正月、GWなどきちんと帰省しています。田舎を離れて暮らした年月の方が長くなってしまった彼女は毎回何か新しい発見を仕入れてますが、今日の報告は、昭和の祭にまつわる情報です。



【マデーニ】
お盆に帰省したある夜、食卓を囲んだときに、ばあちゃんが

「あんらー、エビだごだぁ」にアクセント

といいました。

ガダエビ とは・・・なんだそれ???

私は一瞬、固まってしまいましたが、どうやら「シャコ」のことをいうらしいのです。

私も実はこの方言は記憶しているかぎり、始めて聞きました。
考えてみれば、シャコが食卓にのぼったことなんてうちの食卓にはこれまでなかったのですからしごく当然なのですが(もちろん、は私の記憶のなかででは)

引き続き、ばあちゃんは昔話を続けました。

「オレはおまづりのどき、こづけーっこ、さんしぇんすか もだせらいねがったからガエビに、りんごあに、ばななあ すか かわいねがったんだぁ・・・」 ※「あめ」はにアクセント

(直訳:私は、お祭りのときに、小遣いを三銭しかもたされなかったから、シャコに、リンゴ飴に、バナナ飴しか買えなかったんだぁ・・・)

とのこと。昭和初期はお祭りに「シャコ」が売られていたんですね。これまた初耳でした。

※写真は、噂のガダエビ君たち。確かに“ガダ”って感じです(笑)


【kate】「新・旅館のお気に召すまま」のラストシーンは温泉街の「夏祭り」です。花火、歌ショー、発砲事件、びっくり手品、などなどいろんな仕掛けで物語がハッピーエンドに向かいます。チンドン屋のパフォーマンスもあり、懐かしい昭和の雰囲気を再現できたらと思います。

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「ガラス仮面」の横に!!

東京新聞夕刊
8月21日の東京新聞夕刊に、「新・温泉旅館のお気に召すまま」の紹介記事が掲載されました!(写真左側)

嬉しいことに、となりの記事はなんと舞台版「ガラスの仮面」の劇評です。蜷川幸雄氏の演出という話題性もさることながら、少女漫画「ガラスの仮面」といえば、演劇少女のバイブル。中で展開される演技論には様々異論はありますが、作者の美内すずえさんの描き出す物語の力は圧巻。短編でも秀作多数で(「黒百合の系図」「燃える虹」など大好きでした)、重量感のあるうねるような展開はどこかシェイクスピア的とも言えます。

さて、せっかくなので記事の内容抜粋でご紹介します。

東北弁で語るシェークスピア
 仙台市を拠点に東北地方や東京で活動している劇団「シェイクスピア・カンパニー」が9月14、15日の両日、東京・品川六行会ホールで「新温泉旅館のお気に召すまま」を上演する。
 同劇団は下館和巳・東北学院大学教授(比較演劇学)が1993年に旗揚げし、「松島湾の夏の夜の夢」「恐山の播部蘇(マクベス)」など、東北を背景に方言を生かしたシェークスピア作品を公演。「方言は家族との会話、独り言、正直な気持ちを語るのにとても適している」(劇団事務局)という。

 劇団8作目の「新・温泉旅館の~」は2001年に仙台で初演。今年7月に仙台で再演され、東京公演は初。
 昭和30年代の東北の温泉街が舞台。(中略;あらすじ)。

 脚本・演出を手がける下館教授は生後間もなく重い病気にかかった次女の看病のかたわら脚本を執筆。「生のかがやき、人の優しさや愛情という深いテーマに行き着いた。しがらみを感じて生きている現代人の心を解きほぐしたい」と語る。
(2008年8月21日 東京新聞夕刊 演劇芸能欄)


記事で言及された作品誕生の背景については、別の機会に書きたいと思います。 (kate)

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幕末純情伝

17日(日)、新橋演舞場で「幕末純情伝」を見ました。
女が男を演じるという設定、ちょうど「新・温泉旅館のお気に召すまま」にもあります。何かアイデアが浮かぶかもしれない、という下心もありまして。

凛(原作ではロザリンド)役の星奈美も誘いましたが、さすがにお盆の週末、急に東京へ来いというのは無理な話でした。

さてシェイクスピア作品には、バイオラ、ポーシャ、ロザリンド、など魅力的な男装の麗人が登場しますが、中でも人気NO1はロザリンドです。女優なら、一度は挑戦したい役です。

見せ場は、口説きのレッスン
《好きなのに打ち明けられない事情があって苦しむヒロイン》、これで同情を誘うというのは昔からドラマにはよくある仕掛け。しかし、ロザリンドはそれを逆手にとって意中の彼から自分への愛の激白を引き出してしまう!この夢のような場面に、女性観客はもう「うっとり」です。
シェイクスピア、天才!と毎回思うシーンです。

一方、下館和巳バージョンの「お気に召すまま」には、男性観客が喜ぶシーンがあります。
凛(ロザリンド)と王蘭土(オーランド)が、真夜中の露天風呂で鉢合わせ!です。

それにしても、稽古は服を来たまま練習しているというのに、男性陣の顔はどうしてここまで
緩むのだろう・・・。

あ。「幕末純情伝」からどんどん遠のいてしまいました。