1.5分間砂時計の
誤差因子の割り付け
前回、誤差因子として3種類を
考えました。
これらの誤差因子を実験計画に
組み込むために、直交表に則って
割り付けをします。
温度は「低温」と「高温」の2水準。
湿度は「低湿」と「高湿」の2水準。
振動は「なし」と「あり」の2水準。
このように、2水準の誤差因子が
3種類あるときは、L4直交表に
則って割り付けます。
2水準の因子3種類の組み合わせを
単純に考えると、
2³=8通り
となります。
しかし、直交表に則って割り付けを
行うと、たった4通りで充分になります。
直交表とは何か?と言えば、
それは必要最小限の組み合わせで
全因子の全水準を総当たりにできる、
というものなのです。
直交表の各列は各因子を意味し、
列ごとの「1」や「2」の数字は
各列に相当する因子の水準番号を
意味します。
4通りの組み合わせのうち
1列の水準が1となる組み合わせが
2通りあり、そのうち2列の水準が
1となる組み合わせが1通り、
2となる組み合わせが1通り、
3列の水準が1となる組み合わせが
1通り、2となる組み合わせが1通り
あります。
同様に、4通りの組み合わせのうち
1列の水準が2となる組み合わせが
2通りあり、そのうち2列の水準が
1となる組み合わせが1通り、
2となる組み合わせが1通り、
3列の水準が1となる組み合わせが
1通り、2となる組み合わせが1通り
あります。
つまり、どの因子(列)のどの水準も
他の列のすべての水準と均等に
組み合わされており、スポーツなどの
「リーグ戦」の組み合わせのように
組まれているのが直交表なのです。
今の場合、
1列を「温度」、水準1を「低温」、
水準2を「高温」とします。
同様に、
2列を「湿度」、水準1を「低湿」、
水準2を「高湿」とします。
同様に、
3列を「振動」、水準1を「なし」、
水準2を「あり」とします。
これで3つの誤差因子を
L4直交表に則って割り付けると
下表のようになります。
さらに、実験計画表では、
1~4の各行即ち
誤差因子の組み合わせに
「N1」~「N4」という番号を付け、
下表のような外側直交表に
記載します。
2.5分間砂時計の
制御因子の割り付け
前回、上記の各制御因子の各水準を
下表のように決めました。
2水準の因子が1種類、
3水準の因子が7種類あります。
この場合、組み合わせを単純に
考えると、
2*3⁷=4374通り
となります。
しかし、直交表に則れば、たったの
18通り
で済んでしまうのです。
L18直交表は下表の通りです。
これも1~8列までの各水準が均等な
「総当たり」になっています。
その結果として必要最小限の
組み合わせ数がたった18通りなのです。
単純に考えた組み合わせ数の
1/243にまで減ぜられております。
それが意味するのは、
実験コストも、実験期間も1/243に
削減、短縮できるという経営効果に
繋がるということです。
これに実際の制御因子の各水準を
当てはめると、下表のようになります。
かくして実験計画表が
完成しました。
後は実際に18通りの
制御因子の組み合わせにつき、
4通りの誤差因子の組み合わせで
実験。測定を行い、実験データ欄に
測定値を入力します。
3.5分間砂時計の
測定方法
参考文献には記載されて
おりませんが、実験に入る前に
測定方法も明確化する必要が
あります。
品質工学(タグチメソッド)は
物理量の数値を扱いますので、
誰がやっても同じように
数値データが得られる測定法を
確立しておかねばなりません。
5分間砂時計の時間の
測定法は、下図のような手順で
実施できます。
この方法は二人で行うと無理なく
実施できると思います。
例えば、上側が空になっている
5分間砂時計を測定者Aさんが
ひっくり返すと同時に「Go!」と
声を掛け、測定者Bさんが
その掛け声を聞いた瞬間に
ストップウォッチをスタートします。
砂が全て下に落ちた瞬間、
Aさんが「Stop!」と声を掛け、
同時にBさんが
ストップウォッチを止め、
標示された時間を記録します。
前回の開発目標のところでは
明記しませんでしたが、実用上
砂時計の計時精度が±0.1秒
まで許容できるのであれば、
測定値は小数第一位までを
記録し、第二位で四捨五入
すると決めておくとさらに
測定がし易くなります。
本日はここまでとします。
ご精読、ありがとうございました。
次回は、実測データを
実験計画表に入力し、解析に
入ってゆきます。
ご期待ください。
<参考文献>
広瀬健一・上田太一郎/共著
「Excelでできるタグチメソッド解析法入門」
同友館
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