今日は例の週末大工事でちょっと広くなったはず(笑、渋谷駅のホームから山手線内回りに乗って、小洒落タウン・恵比寿まで。
今週の美術鑑賞は日本画専用美術館として有名な恵比寿の山種美術館まで。
最近は割と近い時代のハジケ気味の絵画ばっかをよく見てたんで、久しぶりにオーソドックスな王道日本画でも、と…
速水御舟と吉田善彦 ―師弟による超絶技巧の競演― at 山種美術館
2021年9月9日(木)~11月7日(日)
※一部広告・記事画像からの引用を使用しております。
とは言っても、思えば速水御舟は大正~昭和初期の画家なんで、世代的、時代的にはゴッホの方が古いんですよね。
更には、この方日本の画家の中でもエコール・ド・パリで活躍した洋画家の藤田嗣治あたりよりも年下なんですよねぇ、そういう西洋化ブイブイな時代の流れの中で、あえて旧い方の日本画という世界で活躍した人な訳です。
旧作を延々と模写するような日本画の伝統を大切にしながらも、西洋画の技法や材料などもガンガン取り入れ、試行錯誤を繰り返した方だそうで、観ているとあまりオーソドックな日本画じゃない気がしてまいりました…(苦笑
フォーマット、というか、大元の精神性は見事なまでに日本画なんですけど。
写生による写実主義も大切にしていたという御舟、この「粧蛾舞戯」にも単なる形式美じゃない写実性が見られますね。
今回の展示はありませんが「京の舞妓」という作品では、あまりに写実性が過ぎて大観に院展追い出されかけたのだとか…(苦笑
箔でも金泥でもない「撒きつぶし」という技法で描かれたマットな金地が美しい「名樹散椿」、伝統的な日本画の様式の中にキュビズムの要素をフィードバックさせた作品とも言われてます。
まぁ、キュビズムなどの近代絵画の技法も日本画などの民族的形式美からのフィードバックを受けてますんで、結局の所行ったり来たりしてんですよね、こういうグルーヴ感って。
そして、御舟といえば近代日本画を代表する、あまりにも有名なこの作品。
仏画的で形式的な炎の表現に、洋画的、写実主義的に描かれた蛾、そして現実世界と心象表現が並立する瞬間を切り取ったかのような画面構成、何回見ても観るのが怖いような、でも観始めると延々と見ちゃうような吸い込まれるような魅力のある傑作「炎舞」です。
私などはなまじ齧っただけあって、ひたすら退屈にすら思える伝統主義的な日本画表現の延長線上に、ここまで凄まじい表現が乗っかるのだなぁ、と、改めて思い知らされる作品でした。
個人的に今回一番引っかかったのがこの「桔梗」。
「炎舞」の時空の広がりすら感じるような「黒」の深淵の表現とはある意味対極的な、最小最低限の筆致で、ここまで見事に写実性と精神性を両立させた高い作品を仕上げられるのか?と驚愕をいたしました。
山種美術館にはレストランが入ってなかったんで、恵比寿の魚御膳専門の定食屋「食彩かどた」で日替わりのさんま塩焼き定食を頂きました。
塩の利いた焼き魚と、薄味の味噌汁のコントラストが絶妙で良き哉。
■「ゴッホ展 響きあう魂 ヘレーネとフィンセント」at 東京都美術館
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