『ホームランド』から中東情勢に思いを馳せる | 晩酌かあさん ちょっくらドバイってまいります

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2016年より夫の赴任帯同で、2人の娘とアラブ首長国連邦(UAE)のドバイで駐妻生活中。 ドバイの暮らしや観光についてブログに綴っております。なかなか晩酌できない国で奮闘中☆

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名古屋にいたときの保育園ママ友たちとの間で流行っていたドラマ『HOMELAND』。
午前1時に起きられたので、シーズン4を一気見しました。
(以下ややネタバレありますのでご注意を!)
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クレア・デインズ扮するCIAのキャリー・マティソン作戦担当官が
テロリスト達と戦う物語ですが、“テロリスト”側の戦う背景や心情、苦悩も描かれ
単純な“正義”で割り切れない戦争の姿を見る者に問いかける、重厚なドラマです。

昔はレオナルド・ディカプリオと共演した『ロミオ+ジュリエット』で可憐な姿を見せ
2人してアイドルだったクレア・デインズ。
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かわいかった…

その彼女が眉間に皺を寄せまくり、ハードボイルドに闘い、
持病の双極性障害でも苦しむ様子を、体当たりで演技していて、最初は驚きました。

シーズン1から3まではアル・カイーダに寝返った海軍曹・ブロディとの関係がメインでしたが、
シーズン4では舞台がパキスタンになり、新たな恋愛もありますが、
タリバーンとの戦い、そしてパキスタンと米国との駆け引きに、よりフォーカスが向けられています。
今回の米国大使館がタリバーンに襲撃されるシーンは、
衝撃的なシーンの多い本シリーズの中でも、特にショッキングなものでした。

しかし、イスラム原理主義者とそうではないイスラム圏の市民それぞれの有り様を、
もちろんドラマに描かれたイメージではありますが、
自分の中で少し整理させてくれて、観てよかったな、と思いました。
アメリカで製作された、アメリカのイラク侵攻や無人空爆機でのビン・ラディン殺害に
批判を込めた作品であることも、興味深いと思います。

今作は、産後うつで思わず赤ちゃんの娘を手に掛けそうになるキャリーが
愛する人々、そして多くの仲間を喪う中
「非情な手段ばかりではなく、人を生かす選択をする」ようになり
家族と向き合うようになっていく過程も清々しかったです。
最後はまたどんより終わりましたがね…えーん

クイン役の爽やかかっこいいルパート・フレンド。
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キーラ・ナイトレイと『プライドと偏見』に出演していた時とイメージがずいぶん違いました。

パキスタンISISのハッカニ大佐役、ラザ・ジェフリーは『SMASH』のイメージが強いです。
最近、売れっ子ですよね。
でも私が一番好きなのは、ヒゲのおじさま・ソールです。
今回は車のトランクに入れられたり、サンダルを投げつけられたり、かわいそうでした

そしてキャリーの娘が、ブロディ役のダミアン・ルイスに
タイム風呂敷かけましたか?というくらい激似でした。
そっくり子役、どうやって見つけるんでしょうね?

これから中東に行くということで、この頃アラビアの歴史の本を読んだりしています。
清水義範さんもエッセイ『ああ知らなんだ こんな世界史』に書かれていましたが
日本で「世界史」と称して教えられているのはヨーロッパ+アメリカ史にちょいと中国。
アフリカ大陸や中東は古代文明が生まれたってだけで、あとはそっちのけです。

アメリカで中学校に通っていたときには、ひたすら十字軍の遠征を教えられた記憶があり、
後々さすがフリーメイスン!と思っちゃいました(笑)
あとコロンブスは英雄と教えられ、コロンブスの顔を描いたTシャツを作ったりしたのですが、
コロンブスが原住民を数千人単位で、しかもかなり残忍な方法で大殺戮し、
スペインのイザベル女王を怒らせたことは後で知りました。

話逸れましたが、中東の歴史は新鮮で面白いのです。
ヨーロッパが中世の暗黒時代を迎えていたころ、
アラブには華麗な文明が栄え、文化や科学も発展していた。
また、近現代の歴史を見ると、世界大戦中の植民地支配を経て、
中東に流入してきたユダヤ人たちとの戦いでさらなる敗北を経験し、
イスラム圏の人々のアイデンティティーを強固なものにし、
欧米の資本主義社会に抗するためのものとして
イスラム原理主義が生まれてきたことが、自然な流れと理解できる(気がします)。

ここ数日、朝のNHKニュースで、
ISが使用した化学兵器で亡くなった2歳のイランの女の子のことなど
シリアとその周辺の様子が特集されていました。
殺されたイランの女の子はとても可愛くて、
取材カメラに女の子に買ってあげた服を見せながら
嗚咽を漏らすお母さんの様子に、同じ年頃の子をもつ者も胸を締め付けられました。
映画『シリア・モナムール』も今、公開されています。

ドバイはもちろん安全な地域ですが、中東に住むのですし、
周辺国の今にも目を背けず知ってこられたら、と思います。
ドラマ『ホームランド』から、そんな刺激も受けたのでした。

ちなみに清水義範さんの小説で好きなのは『蛙男』。
自分の姿が蛙に見えるようになった男の、笑えてもの哀しい作品です。
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