たるみに関する記事を読んだ方から、コメントをいただきました。
「たるみって、自分ではどうにもならないのでしょうか?」
いえいえ、紫外線対策をすることで、真皮のコラーゲン線維などをダメージから守ることも、
予防のために大切なことです。
↑UVAは、奥深くまで届くので、真皮のコラーゲンにダメージを与えます。
私が伝えたかったのは、たるみの場合、
骨やじん帯など、皮膚の奥からの変化も関係しているので、
外側からのケアだけでは限界があるよ、ということなのです。
昨日お伝えしたように、コラーゲン線維は、皮膚の弾力を維持します。
コラーゲンが少なくなったり、紫外線で傷ついたりすると、
皮膚の「モチモチ感」がなくなり、重力で伸びて垂れやすくなってしまいます。
「ハリがなくなる」という表現の方がしっくり来るでしょうか。
日焼け止めをきちんと塗る、という外側からのケアは、
たるみに関してもとても大事なことです。
一方で、体の内側からの変化について重要な役割を果たす、
エストロゲン(女性ホルモン)について今日はお話しします。
エストロゲンは、自分の体が作り出す、アンチエイジング物質とも言えるんですよ。
エストロゲンは女性ホルモンだから、産婦人科…というイメージがありますよね。
しかし、皮膚にも深い関係があります。
エストロゲンが減ってくると、肌の弾力が少なくなったり、乾燥肌が進んだりします。
そして、エストロゲンは、骨にも深い関わりがあります。
骨は、毎日作られては壊されてを繰り返し、少しずつ入れ替わっているのですが、
エストロゲンが少なくなると、壊される方にバランスが傾いてしまうんですね。
更年期に入りエストロゲンが減ると、骨粗しょう症のリスクが上がってしまうのは、このためです。
また、コラーゲンは骨にも含まれていますので、
エストロゲンが減ってコラーゲンが作られにくくなることは、
やはり骨がもろくなることに関係してきます。
こちらの論文には、女性の骨の変化が写真で出ていて、結構衝撃です。
(Shaw RB Jr, Katzel EB, Koltz PF, Yaremchuk MJ, Girotto JA, Kahn DM, Langstein HN.
Plast Reconstr Surg. 2011 Jan;127(1):374-83.)
↑年齢に伴い(写真左から右)、目の穴の部分が大きくなってきていますね。
↑2枚の写真は同一人物ではないのですが、
年齢に伴い、目の穴が大きくなり、頬の部分がこけ、鼻や顎の骨も変化しているのが
はっきりわかりますよね。
(赤く印をつけたところに注目してみて下さいね)
この論文では目の穴の大きさの変化について、
Young(20~40歳)、Middle(41~64歳)、Old(65歳以上)で比較していたのですが、
男性の場合はMiddleとOldの間で大きく差が出たのに対して、
女性はYoungとMiddleの間で大きく差が出ていました。
つまり、女性はMiddleの年齢の時に、目の穴が急激に大きくなるということですね。
その理由については書かれていませんでしたが、
更年期によってエストロゲンが減ってくることが、骨の量の大幅な減少に繋がり、
このような差が出てきたのではないか、と私は推測しています。
(これに関して書かれた論文が今のところ見つからなかったのですが、今後も探してみます。
なぜ、目の上内側と下外側中心に骨が減ってくるのかも、気になるところです。)
エストロゲンが減ることで骨の量が減少し、コラーゲンも作られにくくなり、
角質に水分が保てなくなる…
これが、たるみの進行や、小じわ・乾燥肌の悪化と繋がってくるのでしょうね。
骨の量とたるみには、どんな関係があるの?という方は、こちらをご覧くださいね。
実際に、たるみが進行してきてご自身がはっきり自覚するのも、
更年期の年代(45歳~55歳頃)と重なることが多いのではないでしょうか。
(本当は、はっきり症状が現れる前に予防も含めた治療をした方がいいのですが…
それについては、改めて書こうと思います。)
たるみがググっと進行してくるのは更年期が境目なのではないか、と
私自身は予想しているのですが、
これはもともとの骨格などもありますので、他人との比較は難しく、
お一人ずつ20代の写真と比べながら経過を追っていかなければなりませんね。