こんにちは。 札幌出身の皮膚科専門医/美容皮膚科女医の日景聡子です。

 

昨日、顔の筋トレはシワのもとになりますよー、というお話をしました。

 

表情筋エクササイズ、顔ヨガなどとも言われるこの体操、

ほうれい線にも効く、と書いてあることが多いですね。

 

 

ほうれい線は、シワではなくたるみの仲間

 

顔のシワというと、真っ先に思い浮かぶほうれい線ですが、

実は、シワではなく、たるみの仲間なんですね。

 

 

たるみのメカニズムは複雑で、いろいろな要素があります。

(ちょっと長い記事ですが、詳しく知りたい方はこちらからどうぞニコニコ

 

 

年齢とともに、骨のボリュームが少しずつ減ってきます。

具体的に言うと、頭蓋骨の目の部分の穴が大きくなってきたりします。

 

下の図で言うと、青い斜線で囲まれるエリアですね。

(絵心ないですが、自作しました照れ

 

図の赤い線で書いてある部分が、じん帯といって、

骨から皮膚までを貫く線維性の柱(カーテン)があるところです。

 

年齢に伴い、重力や骨の変化と一緒に、このじん帯(カーテン)が緩んできます。

図でいうと、左から右の変化ですね。

 

昨日お話しした表情筋は、このじん帯とも結合しています。

そして皮下脂肪は、この表情筋の上に乗っかっています。

 

そのため、じん帯の緩みとともに、

筋肉・皮下脂肪・皮膚全てが雪崩のように、

下に向かってずり落ちていってしまうんですね。

 

それが目元のたるみ、ほうれい線を作る大きな原因になっています。

 

たるみは、皮膚の更に奥からの変化に注目する必要があるんです。

 

ここが、シミ(紫外線や摩擦などで、皮膚表面が変化する)と大きく違うところです。

 

 

たるみは、筋肉だけの問題ではない
 

表情筋は、昨日もお話ししたように、骨とは直接繋がっておらず、

じん帯や皮膚と、ある意味「ゆるく」結合しています。

 

これが、豊かな表情を作れる理由なんですね。

 

しかし、逆に言うと、表情筋をいくらトレーニングしても、

くっついているじん帯や皮膚がたるんでしまうと、

一緒に下にずり落ちてしまうのです。

 

筋トレして脂肪を減らせば、重力に逆らえる!というわけではないんですね。

 

皮下脂肪に関しては、場所によって増えたり減ったりすることが、

たるみの一因になります。

 

たるみにヒアルロン酸が良いと言われるのは、

緩んできているじん帯を補強したり、

足りなくなった皮下脂肪のボリュームを補ったりできるからなんですね。

 

顔の場合は、痩せるとたるみが目立つ場合もあり、バランスが難しいのです。

 

あ、舌をぐるぐる回す体操などが、ほうれい線に良いと言われますが…

 

舌の筋肉は表情筋ではありませんし、

こうしたたるみのメカニズムとは違う場所にあります。

 

舌をぐるぐるすると口元の筋肉も一緒に動きますが、

ほうれい線から下の筋肉を鍛えても、根本的な解決になりません。

 

ほうれい線より上の部分が、骨やじん帯の変化に伴ってずり落ちてくるのですから…ダウン

 

もちろん、舌の体操は飲み込む機能を維持するのに有効であり、

老化予防として歯科の先生がお勧めするのは一理あるのですが、

 

残念ながら、ほうれい線には効果が期待できないということですね。

 

 

強いマッサージは、皮膚が伸びたりシミの原因に
 

たるみ予防といえば、強いマッサージにも注意が必要です。

 

重力に逆らうように一生懸命上に引っ張りながら

ぐるんぐるんと念入りにマッサージされる方がいますが、

 

手を離したら、元に戻ってしまいますし、

伸びた皮膚がたるみを作るので、良くありません。

 

強いマッサージは、じん帯を緩める可能性も…ガーン

 

妊婦さんを思い浮かべたらわかりますが、皮膚はすごく伸びるんです。

しかし、伸びた分を自力で元に戻すのは非常に困難です。

 

マッサージは肝斑(かんぱん)などシミの原因にもなりますので、
気を付けてくださいね照れ

 

コロコロローラー?みたいなものを、下から上に押し付けて転がすのも、

たるみに効果がないばかりか、シミのもとを作ってしまいます。

 

目元のたるみを予防したいあまりにマッサージをすると、

目の周りが色素沈着を起こして、クマに見える原因になりますので、

これまたご注意を…注意

 

いつも最後までお読みいただき、ありがとうございます。 
 
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