水中カメラマンのデスクワークな日々 -477ページ目

MOTION JPEG2000

 静止画の圧縮フォーマットとしてのJPEG2000がなかなか普及しない 話を以前したと思いますが、今回は、動画の圧縮フォーマットとしてのJPEG2000(MOTION JPEG2000)の話を少し。


 昨日見てきた INTER BEEでも「MOTION JPEG2000」関連の商品は個人的には注目していたのですが INTER BEEの中では、ほとんど目立たない、つまり気にしていない人には目に止まらないような展示でした。
 私がなぜ「MOTION JPEG2000」に注目しているかというと、一言で言えば「次世代の動画の圧縮フォーマット(コーデック)」として期待しているからです。今広く使われているデジタルビデオ(DV)やDVD-VIDEOのMPEG2、ハイビジョンカメラのHDVやDVCPRO HDや HD CAM、最近話題の H.264,VC-9等々、いずれも「過去の動画の圧縮フォーマット(コーデック)」なのです。

 ”過去の”と言えば聞こえが悪いですが、良く言えば”洗練された無難なもの”なので広く普及しているわけです。


 では、「過去のコーデック」と「次世代のコーデック」の違いは何か? というと圧縮アルゴリズムが「過去のコーデック」はDCT(離散コサイン変換)をベースにしているもの、つまり、原理的にブロックノイズが発生してしまう方式、「次世代のコーデック」はWavelet(離散ウェーブレット変換)をベースにしているもの、つまり、原理的にブロックノイズが発生しない方式なのです。


 最近、大画面モニター(プラズマディスプレイや液晶テレビ)でハイビジョン映像を見る機会は増えましたが一見すると素晴らしく奇麗な映像に見えますが、画面に近づいてよくみると ブロックノイズを初めとするデジタルノイズの粗が見えてしまいます。これらのノイズの原因の殆どがDCTによる圧縮によるもので、これをWaveletに変えれば、ほとんど解消されるのです。


 2年前、ハリウッドのPixer社の映画「ファインディング・ニモ」がCGで水中を描いた高画質な映像が非常にセンセーショナルだったのですが、この時Pixer社が映画編集用に開発した動画コーデックが Pixletというものです。このPixletこそWaveletを採用した動画コーデック で、弊社の業務でもずいぶんと活用させてもらっています。


 最近の映画は、ハイビジョンビデオカメラで撮影される事が多くなりました。しかし、殆どの場合ハイビジョンビデオカメラで撮影しているにもかかわらず、テープに記録しないで外付けのハードディスクに記録しています。理由はテープに記録する事でDCTの圧縮がかかるので、非圧縮で記録する為に外付けのハードディスクを使わざるを得ないのです。


 では、なぜDCTの圧縮がダメなのかとえいば、最近の映画は合成を多用する為、ブロックノイズが合成の品質を落としてしまうからです。逆に言えば、ブロックノイズが無ければ、圧縮された映像でも良いのです。


 非圧縮映像の画質は最高かもしれませんが、HDの場合約1500Mbpsのデータ量です。通常のDVが25Mbpsですから DVの60倍ものデータ量があります。ここで、「MOTION JPEG2000」を採用すれば、ブロックノイズを発生させることなく非圧縮の1/10のデータ量(約150Mbps)で、非圧縮と同等の高画質の映像が撮れるわけです。


 こんな期待を抱きながら今回のInterBEEで唯一見つけた商品が HDビデオディスクレコーダー「VDRH-9000」 という商品。
 NHKと共同開発したという事です。さすがNHK!目のつけどころがすばらしい。
 NHKはスーパーハイビジョンカメラ(現行ハイビジョンの4倍の解像度)を開発していますから、実用化の為には非圧縮記録はあまりにも非現実ですからね。当然「MOTION JPEG2000」に目を付けたのでしょう。

 とはいってもまだまだ「大きな箱型」なので、水中撮影用途に使えるようなものでは無いです。ハンディタイプになるとか、カメラ一体型になるにはまだ5年、10年かかるのでしょうか?

 その点では、特許を押さえるなら今のうちかもしれませんよ。>メーカーの開発担当者さん


国際放送機器展(Inter BEE)

 今日は朝から国際放送機器展(Inter BEE) へ行ってきました。放送用ビデオカメラや編集機やらの一般の人にはあまりなじみの無い放送機器の展示会です。

 今回のInter BEEで私が注目していたのが、小型のHD(ハイビジョン)ビデオカメラ。特に、PanasonicのAG-HVX200 は、大型の放送用 ビデオカメラと同じ方式(DVCPRO HD )の小型のHDカメラなので期待している商品です。 
 今回、実機を初めて手に取って見たのですが、「小型というにはちょっと大きいすぎ」という感じです。 Sony HDR-FX1 も決して小型とはいえませんが、さらに”ずんぐりむっくり”させた感じです。 DVCPRO HD方式に拘ったので仕方無かったのでしょう。

 Sony HDR-FX1と同じHDV方式で、レンズ交換ができるハイエンドHDVカメラが、 CANON XL-H1Victor GY-HD100 があります。 CANON XL-H1は民生機、Victor GY-HD100は業務機という位置づけですが、周辺機器の充実ぶりからCANON XL-H1の方が魅力を感じました。

 その周辺機器というのは、リモート撮影用のリモコンや外付けモニターの完成度が高く、IEEE1394経由でPCからもリモート撮影&コントロールができたり、PCで波形モニターやベクトルスコープを表示させながら絵作りやビデオカメラ機能の複雑な設定がPCからできる等、商品企画のレベルの高さを感じました。

 他にもいろいろ見てきたのですが、話がマニアックになりすぎるので、今日はこのくらいで。

海外ロケでも携帯電話が大活躍

 今回のサイパンロケ、急に決めたロケだったので飛行機やホテルの手配は事務所と同じビルにある某大手旅行会社に頼みました。
 帰国便のオーバーブッキングは航空会社の都合によるものでしたが、その事に対する現地エージェントの対応が我々の要求に対して不誠実であったので、今日の午前中、旅行会社の支店の責任者がわざわざ手土産を持って謝罪に来てくれました。


 「海外旅行にトラブルがつき物」である事は仕方ない事ですが、肝心なのは起こってしまったトラブルに対する対処能力です。今回のエージェントの問題はその対処能力が低かった事と客である我々に対して”嘘の言い訳”で責任逃れの発言を繰り返した事です。

 否があれば素直に認め、正確な情報を早い段階から提供してもらえれば心象はかなり違ったはずなのに。。
 
 今回のロケのトラブル対応に役に立ったのは、なんといっても現地で借りた携帯電話。
 携帯電話が無ければ、現地エージェントの「嘘の情報」を鵜呑みにしてしまっていた所ですが、たまたま同行してくれた現地在住の日本人の友人ネットワーク情報網で「嘘」がバレバレになってしまったし、日本の旅行会社へも不誠実な対応ぶりがリアルタイムに伝わってしまったのです。


 情報ネットワーク社会は便利である反面、ごまかしがきかないから怖いですよ!


 もうひとつ今回のロケで携帯電話が役に立ったのは、初日の水中撮影で、ハイビジョンビデオカメラの動作がエラーになり、せっかくのロケなのに撮影ができない深刻な事態に陥りました。ボートの上で途方に暮れていた時、携帯電話がある事を思い出し、サイパンの海のダイビングボートの上から日本へ国際電話。


 まずP社の営業担当者に電話を入れ症状を伝え、サービス部門の担当者から折り返し国際電話で回答。
 結果的には自力で解決したのですが、海外ロケの現場からこういうトラブル解決の手段があるという事は失敗が許されないロケでは物凄くメリットがあります。
 
携帯電話はこれからの海外ロケには必需品ですね。

トラブルで終わったサイパンロケ

今日予定より1日遅れでサイパンから帰国です。

NWの機体交換によりオーバーブッキング状態になり

予定の便に乗れなくなり1日遅れの帰国となりました。


しかも、今日、その変更便にチェックインする際、 

私の名前「Hiroshi Sato」が国際指名手配されている

人物と同姓同名と云う理由でなかなかボーディングパス

が発券されない、さらなる厳しい荷物チェックと、 

誰も居なくなったチェックインカウンターにただ一人

取り残されるというおまけ付き。。  


「旅にはトラブルがつき物」と良く言われますが、本当

にその通りで、トラブルが何ひとつなく終わるロケの方

が少ないように思います。


サイパンロケも明日で終わり。

早いものでサイパンロケも明日で終わり、夜、日本へ帰国です。
昨夜はジャズのディナーショウで夜遅くなりブログの更新ができませんでした。
妙に「浅草」繋がりの仲間で盛り上がりました。
その後、サイパン在住のカメラマンの方と写真談義。

そして今日は、水中ロケの最終日。天気はスコール有りのやや不安定な天気でした。
明日は半日レンターカーでの島内撮影です。天気がどうなることやら。。