僕は進学したかった高校に行けなかった。

バスケの強豪校で、バスケ部の寮があり

その高校にいけばもっと上手くなれる

そう思っていたけど、親が商売をしていた為

商業高校に無理矢理進学させられた。

商業高校なので男子生徒が少なくて

バスケ部があるかどうかも怪しくて

心が折れかけた。

でも、入学して少しした頃

いつも、必死に走っている生徒がいた。

彼女はバスケ部で、部員は5人しかいない

ギリギリ試合ができる程度の人数

練習だって、まともに出来ない

なのに、毎日、走っていた。

なぜ、あんなにも気になったのか分からないけど

ふとした事で足を骨折し、入院した時

病院で、その子を見かけた。

初めは中学生かと思ったけど、同じ高校の

バスケットのユニフォームを着てた。

その日、彼女の父が亡くなったと聞いた。

桜が散る季節だった。

その子の家族に何があったのくらいは

世間知らずの僕にも理解できた。

当時の僕は、偶然も奇跡も信じなかった。

だけど“必然”っていう言葉はなんだか

ちょっとだけカッコいいと思ってた。

退院後、僕はバスケ部の入部届を持って

職員室へ行った。







最後の瞬間はあんなにもあっけなかった。


あの時の一瞬一瞬をもっと


焼きつけておけば良かった。


努力だけじゃ届かない、それは皆知ってる


なのに向かうのはそこしかない


それしかないんだ


完璧な人間なんていない


でもどうしたって


上がってく人間はそんな風にしか見えない。


必要とされるのも


やっぱりそういう人間なんだ。


大半の選手はそういう立場の者だった。


そして、途中で心が折れる。


完璧な人間など、この世にいない


人は、何を持って完璧なのか


何度も何度も挫折して、それでも諦めない。


バスケットボールを始めるまでの僕は


何も分かっていなかった。


自分の居場所や


存在理由みたいなものを求めてた


そんなものはどこにもあるワケないのに


ただ必要とされたい、ただそれだけでいい


僕にバスケを教えてくれた恩師は


中学生最後の試合は


スタメンに選んでくれた


あの時の言葉が、弱さと愚かさを


吹き飛ばして受け取った確かなもの。


それは繋げていくということ。


叶わなかった夢と、確かな足跡を。





「自分を理解してくれる人は、この人かも」

そう感じた相手とこれまで出会った人も

多いと思う。

結婚っていうのは決して幸せになるためだけに

するものじゃない。

一人で乗り越えられない困難を二人で乗り越える

その為に、人は結婚するんだ。

僕は「妻が見たかったはずの未来を見る為に

この街に帰ってきた。この街で暮らすと決めた」

「だから、この先も生きていくと決めたんだ」と

「妻が見たかった世界」と何度も言ったけど

「自分の見たい未来」とは一度も言わなかった。

その時の僕は本当はこの世界が憎んでいた。

愛するモノを喪えば誰でもそうなるはず

僕は「それでも、この世界を愛せる」

なんて聖者のようなことを口にできるような

人間じゃない。

僕に悲しみがあれば受け取って

喜びがあれば分け合って

道を誤れば叱って誤ちを犯せば許して

立つ瀬がない時には、拠り所になってくれる

そんな、存在を求めていたんだろう。

世界を愛せなくなった僕が

再びこの世界を愛せるように。

僕は出会った人に勝手に運命を感じて

勝手に自分の理解もだと勘違いして

そして、勝手に失望した。

何もかもが僕の勘違い、もしくは都合の良い

解釈だった。

思えば、僕は一方的に自分の気持ちをぶつけ

理解してもらえないと、勝手に失望していただけ


僕は何も望まない。何も求めない。

僕がこれまで感じた絶望や、ほんの少しの希望

遠回りした道や時間、その中で生まれた

軌跡や奇跡、それを理解してもらおうなんて

初めから無理だったんだ。

でも、これだけは言える。

「ごめんなさい。」

そんな言葉で全ての罪が許されるなら

「この世は地獄だ。」なんて

初めから見てちゃいない。

バスケットボールはお手入れが大切。


皮のボールを磨いていると愛猫のトラちゃんも


反応して参加



ゴシゴシゴシゴシ



おかげでピッカピカに。


ありがとう、トラちゃん。


と、めちゃ可愛いうちの子でした




僕の知人に発達障害の子供を持つ人物がいる。

この「知人」は少し前まで「親友」と

僕は思っていた。

20年以上の付き合いで、若い頃はまだ

分からなかったが、お互い歳を取り

家庭を持つことになり、僕は彼のそれまで

気が付かなかった一面を見る事になった。

僕は浮気や、不倫という行為にものすごい

嫌悪感を感じる。

自分を信じ、愛してくれている相手に対しての

明白な裏切り行為だからだ。

それを彼も知っていたはず。

しかし、彼は不倫や浮気を何度も繰り返した。

昔、気づかなかった事、それは彼の

女癖の悪さ、だった。

彼には妻の他に3人の子供がいて、末っ子が

発達障害を持つ子だった。

その子が、障害者支援学校で他の生徒の目を

鉛筆で刺す、という事故を起こした。

その時、彼は不倫相手とデート中で

妻には「仕事が忙しいから、お前が対応しろ」

と言い放ったという。

その事を他の友人から聞いた時

そこまで家庭を蔑ろにしてまで行う

不倫という行為に意味はあるのか?

そういう一面を持つ彼に気づかなかった

自分にも腹が立つし、それまでの思い出さえ

踏み躙られたような気がした。