僕は進学したかった高校に行けなかった。

バスケの強豪校で、バスケ部の寮があり

その高校にいけばもっと上手くなれる

そう思っていたけど、親が商売をしていた為

商業高校に無理矢理進学させられた。

商業高校なので男子生徒が少なくて

バスケ部があるかどうかも怪しくて

心が折れかけた。

でも、入学して少しした頃

いつも、必死に走っている生徒がいた。

彼女はバスケ部で、部員は5人しかいない

ギリギリ試合ができる程度の人数

練習だって、まともに出来ない

なのに、毎日、走っていた。

なぜ、あんなにも気になったのか分からないけど

ふとした事で足を骨折し、入院した時

病院で、その子を見かけた。

初めは中学生かと思ったけど、同じ高校の

バスケットのユニフォームを着てた。

その日、彼女の父が亡くなったと聞いた。

桜が散る季節だった。

その子の家族に何があったのくらいは

世間知らずの僕にも理解できた。

当時の僕は、偶然も奇跡も信じなかった。

だけど“必然”っていう言葉はなんだか

ちょっとだけカッコいいと思ってた。

退院後、僕はバスケ部の入部届を持って

職員室へ行った。