バインド-縛るもの-(3)
目次コリンは、血まみれのリチャードを胸に抱いた。体は、まだ暖かい。コリンはあまりの突然のことに、頭が真っ白になった。邪悪な気配がした。コリンは振り向きざま、右手を撃たれ、その衝撃でベレッタM92FSを落とした。続けて、右肩や腹に数発の弾をぶち込まれた。床にコリンは倒れた。目の前に、赤い派手なシャツを着た、蛇の様な目をした男が近寄ってきた。男は、顔を上げたコリンを蹴った。後頭部を床に激しく打ち、コリンの意識は朦朧とした。男は、サプレッサーを装備した短機関銃をコリンの額に向けた。キキッー。外から、車が急ブレーキをかけた音がした。その瞬間コリンは、反射的に体を横に逸らし、弾が床に当たった。男は「チッ。」と舌打ちして、再びコリンに短機関銃を向けようとしたが、車のドアが開く音がしたので、奥へ逃げた。逃げる際に、男は火を付けた。母屋は、瞬く間に火に包まれた。コリンは、朦朧とした意識の中で、リチャードの方へ這った。裏社会に飛び込む時に、死の覚悟は出来ていたつもりだったが、いざその瞬間になるとコリンは怖くなり、リチャードの手を握り締めていた。そして、意識を失った。続く