コリンは、血まみれのリチャードを胸に抱いた。
体は、まだ暖かい。
コリンはあまりの突然のことに、頭が真っ白になった。
邪悪な気配がした。
コリンは振り向きざま、右手を撃たれ、その衝撃でベレッタM92FSを落とした。
続けて、右肩や腹に数発の弾をぶち込まれた。
床にコリンは倒れた。
目の前に、赤い派手なシャツを着た、蛇の様な目をした男が近寄ってきた。
男は、顔を上げたコリンを蹴った。
後頭部を床に激しく打ち、コリンの意識は朦朧とした。
男は、サプレッサーを装備した短機関銃をコリンの額に向けた。
キキッー。
外から、車が急ブレーキをかけた音がした。
その瞬間コリンは、反射的に体を横に逸らし、弾が床に当たった。
男は「チッ。」と舌打ちして、再びコリンに短機関銃を向けようとしたが、車のドアが開く音がしたので、奥へ逃げた。
逃げる際に、男は火を付けた。
母屋は、瞬く間に火に包まれた。
コリンは、朦朧とした意識の中で、リチャードの方へ這った。
裏社会に飛び込む時に、死の覚悟は出来ていたつもりだったが、いざその瞬間になるとコリンは怖くなり、リチャードの手を握り締めていた。
そして、意識を失った。