今年も各地でいろいろな山野草に出会えました。

 この花は山野草というよりも、近所のお宅の庭でも、寺院の境内でも、公園でももう普通に見れます。

 また、仲間は亜高山帯にも暮らしています。

 

 

 そんな花ですが、信州のある湿原で出会ったのが、とっても印象に残りました。

 普通に見られる「ギボウシ」の中の「コバノギボウシ」と思っていました。

 この時は青紫色がとっても綺麗に見えました。

 

 

 

 

 そして帰って、キボウシの仲間を復習してみようと思いました。

 そしたら、この一族郎党・・とんでもない一属・・だとわかりました。

 今回の写真は「コバノギボウシ」の仲間だと思います。

 

 

 キジカクシ科、ギボウシ属の多年草です。

 ギボウシ属というのは世界に24種だそうで、そんなに多くの種はありません。

 そして暮らしているは東アジア、特に日本に圧倒的に多くの種が集中しているのです。 そうだったのかぁぁぁぁぁ・・です。

 ユリやホトトギスのようです。

 

 

 日本にたくさんの種があるというのは、この狭い国土の各地域に固有の種があるということでしょう。

 ということは今まで単純に「オオバノギボウシ」とか「コバギボウシ」って言っていたけど、厳密には違うかも知れません・・・。

 

 

 このコバノギボウシですが、これも各地に変異というか、多型で変異が多くあり、でもその変異が少しずつで連続的なため、違いを区別するのが困難で、変種、亜種として区分することは認められないそうです。

 コバノギボウシは花びらの内側の脈状のものに濃い色が(濃淡あり)って目立ちます。

 

 

 それでも各地に特徴のあるのがありました。

①フクリンギボウシは葉に斑が入る。②クロバナギボウシは北海道の高山帯にいる。

③ツリガネギボウシは山麓の湿地、④コギボウシは東京・神奈川・埼玉の山地で白系の花、⑤フジギボウシは丹波地方、➅ムラサメギボウシは近畿~四国、⑦ヤツブサギボウシは日光、⑧タチギボウシは北海道~本州の中部以北、などがあり、また栽培種もいくつかあります。

 もちろん園芸品種として作られているのも多数あります。

 

 

 コバノギボウシが属する「ギボウシ属」で有名なのは、オオバギボウシでしょう。北アルプスなどで見られるナメルギボウシはその仲間です。オオバギボウシは北海道~本州に暮らす日本固有種です。

 そしてこのギボウシ属の日本固有種として記載されているのが・・・・

①ブンゴ(豊後)ギボウシ、②ウラジロ(裏白)ギボウシ、③ヒュウガ(日向)ギボウシ、④スダレ(簾)ギボウシ、⑤キヨスミ(清澄)ギボウシ、➅ケヤリ(毛槍)ギボウシ、⑦イワマ(岩間)ギボウシ、⑧ベンケイ(弁慶)ギボウシ、⑨ハヤザキ(早咲)ギボウシ、⑩イワ(岩)ギボウシ、⑪アキ(秋)ギボウシ、⑫ヒメイワ(姫岩)ギボウシ、⑬イズイワ(伊豆岩)ギボウシ、⑭ミズ(水)ギボウシ、⑮ウバタケ(姥岳)ギボウシ、⑯セトウチ(瀬戸内)ギボウシ、⑰ザラツキギボウシ、⑱シコク(四国)ギボウシ、⑲クロナミ(黒波)ギボウシ・・・などです。


 

 そしてこれ以外にも、日本と朝鮮半島が故郷のもの、日本と朝鮮半島、中国が故郷のものなどがあります。

 

 

 もちろん花の作りの基本デザインは同じです。

 花びらは6つ、雄しべも6つです。そして雌しべは1つ。

 

 

 まぁ、そんなややこしい話は別として・・・この湿原では花が少なくて、他にはキリンソウの仲間やクサレダマがあったくらいなので、数は少ないけれど、この花色に惹かれました。

 

 

 いゃあ、ギボウシ・・・されどギボウシでした。