あしべの自由帳
こころにうつりゆくよしなしごとを、そこはかとなく。主にラブとピースとエロスにまつわるetc.について考えています。
税関当局による朝鮮高校修学旅行土産の不当没収に断固抗議する
修学旅行で北朝鮮土産「税関が不当に押収」 総連が抗議:朝日新聞デジタルhttps://www.asahi.com/articles/ASL6Y5SB8L6YUTIL036.html
この事件に関して、案の定というか、残念ながら「法的根拠があるのだから税関による没収は正当だ」などという声が散見されます。
しかし、そもそも日本政府が「経済制裁」の根拠とする、外国為替及び外国貿易法(外為法)による規制の趣旨は、「我が国(日本)の平和及び安全の維持」であって*1、決して「北朝鮮敵視」ではないはずです。そうして、コリア半島の和平が進展するなか、今後の朝日和平において在日コリアンの若者が朝鮮と日本の「かけはし」となる点に鑑みれば、税関当局が「坊主憎けりゃ袈裟まで憎い」と言わんばかりに朝鮮高校生の朝鮮修学旅行土産を没収するというのは、「我が国の平和及び安全の維持」に資するどころか、むしろマイナスであるといえます。したがって、今回の税関当局による没収は、たとえ「経済制裁」に基づく措置一般に法的根拠があったとしても、法の趣旨を逸脱する不当なものであると言わざるを得ません。
それとも、日本政府は、「北朝鮮」にかかわるものを全て敵視し排除するのが「我が国の平和及び安全の維持」に資するとでもいうのでしょうか。そのような排外主義的で好戦的な態度は、東アジアの和平にとって脅威以外の何ものでもありません。
もっとも、おそらく税関当局も、朝鮮高校生の朝鮮修学旅行土産を没収することが不当であることをうすうす分かっているのでしょう。だからこそ、任意放棄を強要するという卑劣な手段を用いたのだと思います。このような卑劣な手段を用いることは、憲法の適正手続条項に違反するものであって、決して許されるものではありません。
今回の税関当局による没収は、たとえ「経済制裁」(もっとも、私に言わせればそれは「経済制裁」に名を借りた「帝国主義的暴力」です。)に法的根拠があるとしても、朝鮮高校の学生の人権を踏みにじる違憲な処分です。税関当局および経済産業省は、今回の不当没収について朝鮮高校の学生の皆さんに真摯に謝罪し、不当没収を二度と行わないことを確約しなければなりません。
もっとも、今回の問題は、決して税関当局や経済産業省だけの問題ではありません。今回の不当没収のような日本政府の在日コリアンに対する人権侵害を支えているのは、紛れもなく「日本国民」です。「日本国民」が日本政府の在日コリアンに対する人権侵害を許容するから、日本政府の在日コリアンに対する人権侵害が増長するのです。
以上、私は本稿をもって、税関当局による朝鮮高校修学旅行土産の不当没収に断固抗議します。私は、朝鮮高校の学生の人権を踏みにじる日本政府の卑劣な行為を、絶対に許しません。
くりかえしのうた
【記者会見でのコメント全文】
関空税関当局による神戸朝鮮高級学校生徒への暴挙を記者会見で糾弾「安倍政権が口にしている対話や信頼醸成は偽善的詭弁」
28日夜、関西国際空港の税関当局が、神戸朝鮮高級学校の生徒たちが、朝鮮への修学旅行の際、親族や知人からもらった贈り物などの物品まで押収するという暴挙を働いた。これと関連し、29日午後5時、朝鮮総聯中央本部の徐忠彦国際・統一局長と神戸朝鮮高級学校の許敬校長が記者会見を行った。以下は、会見での徐局長のコメント全文。
昨晩(6/28)、NH980便とCA161便に分乗して関西国際空港に降り立った神戸朝鮮高校生徒62名が朝鮮への修学旅行の際、親族や知人からもらったお土産などの物品を税関当局がむやみに没収するという暴挙を働いたことが、明らかになった。
生徒たちの保護者たちから朝鮮総聯中央本部に連絡が入り、関西国際空港の税関当局が子供たちのお土産まで取り上げるという卑劣な蛮行を働いたこと、この蛮行が日本政府の指示によるものであるのは明らかなので、本国にしっかりと伝え、日本政府に正式に抗議してほしいとの要請が多く寄せられた。
事実関係を調べたところ、あまりにもひどいので、記者会見する必要性を感じていたところ、たまたま神戸朝鮮高級学校の校長が東京に出張で来られているということだったので、事実関係も明らかにしていただくべく、急きょ本日この時間に記者会見することになった。
具体的な事実関係については、校長から説明していただく。
神戸朝鮮高校の生徒たちは祖国の親族や友人からもらった心からの贈り物を目の前で無残にも没収され、その非道さに心を切り裂かれ、泣きじゃくり、大声で抗議したという。
朝鮮半島で北と南が、そして、ついに朝鮮とアメリカが握手を交わし、和解の流れができた中で、次は朝鮮と日本とが握手を交わし友好的な関係になる番だと期待と希望に胸を膨らませ、朝鮮からの真心のこもったお土産を日本にいる家族や学校の友達、後輩たちに渡そうと、大事に持ち帰ったにもかかわらず、その入り口で無残にもその期待と希望を切り刻まれたのである。
朝鮮と日本との和解と友好を心から願って日本に戻ってきた生徒たちの心を、なぜこのように残酷に踏みにじり、両国と両国の人々との関係をこれほどまでに悪化させようとするのか、私たちは到底理解できず、絶対に許すことができない。
私は、すべての在日朝鮮同胞の名において、不当な「制裁」のもと、日本政府の指示に沿って関西国際空港の税関当局が行った、卑劣で非人道的な蛮行について、強い憤りをもって断固糾弾し抗議する。
先の北南首脳会談、そして史上初の朝米会談を契機に、朝鮮半島情勢が平和と和解に向かい、全世界の人々がこのような流れを積極的に歓迎し支持している中で、唯一日本政府だけが、これに逆行する敵対行為に固執し、制裁を口実に過去の植民地支配の犠牲者である在日朝鮮人、とくに子供たちの基本的人権までも踏みにじり、差別し、心に傷を負わしていることは、朝日両国民はもちろん、世界の人々の非難を免れないだろう。
安倍総理は、最近「朝日平壌宣言に基づく国交正常化」、「日朝首脳会談の開催」、「日朝間の信頼醸成」を云々しながら、対話を重視する姿勢を鮮明にしているが、その裏で、実際には、安倍総理が指示した不当な「制裁」のもとで、このような非人間的な敵対行為が公然と行われているのである。
対話と圧力、和解と敵対行為が両立しないということは、現在の北南関係と朝米関係の動きを見ても明らかであり、安倍政権がいくら「対話」や「信頼醸成」を口にしても、それは偽善的詭弁としか映らない。
今回の事件は、すでに本国にも伝わっており、今後の朝日関係に大きな禍根を残すであろう。
日本政府が、真摯に朝鮮との対話を望むなら、口先だけではなく、このような卑劣で非人道的な措置を止めることから始めるべきである。
私は、朝鮮学校に通う生徒とその保護者をはじめとするすべての在日朝鮮人の名において、ピョンヒャン宣言に基づく、朝・日両国間の関係正常化と在日朝鮮人の人権の公正な保障を切に願い、次のように要求する。
①制裁を口実に、基本的人権を踏みにじることは許されず、よって税関当局は、在日朝鮮人生徒に対するこのような職権濫用、非道極まりない人権侵害行為について真摯に謝罪し再発防止を確約すること。
②日本政府は今回の事態が発生した根源である朝鮮に対する不当な「制裁」を一日も早く撤回すること。
③日本政府は、在日朝鮮人の民族教育に対する不当な差別と抑圧を直ちに中止し、国際人権法に基づいた諸権利を保障すること。
関空の税関で、修学旅行生のお土産を「没収」…言葉を
昨年、東京朝高の修学旅行生のことが思い出された。*
こんな純真な生徒たちの心が踏みにじられたのだ。
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