今日のあなたの胃腸は元気ですか?
健康に関する話題は昔から事欠きませんが、最近では「腸活」「腸サプリメント」など、胃腸に関係した健康法が着目されています。
あなたは何のために腸活をしたいのでしょうか?
すでに腸活している方であれば、その方法はあなたに合っていますか?
東洋医学のお話を基に、健康づくりにおける胃腸のケアの重要性を簡単にお伝えします。
胃腸は健康のバロメーター
人が生まれるとき、最初に受精卵から作られる臓器が、腸だと言われています。
胎児はお母さんから運ばれる栄養を、へその緒を通じて腸で受け取りながら成長し、その後胃が形成されます。
これだけみても、人が生きていく上で胃腸がどれだけ大事か、よくわかるでしょう。
胃腸の機能は、食べ物を消化して栄養分を全身に行き渡らせること。
最近では他にも、免疫機能や脳との関係性も研究されつつありますが、一言でいうならば人が生きていくために必要なエネルギーの生産工場です。
東洋医学の考え方では、人間を構成しているものは「気(力)・血(血液や栄養分)・水」の3つであると言われています。
食べ物を消化吸収するとき、体内では熱が発生します。
この際、生じたエネルギーによって「気・血・水」が全身へ運ばれ、同時に体内が温められます。
つまり、3要素の量と循環環境が整っていることが、健康の第一条件と言えるのです。
西洋医学では、頭痛に対して鎮痛薬を使うように、表に現れてきた症状のみを抑えます。
一方、東洋医学を軸としている漢方内科では、心身の病であっても胃腸を整えるところから始まります。
根本的な部分の体質改善を行い、その大元である胃腸を整えることが、あらゆる病気の根源を取り除いていくための第一歩となるのです。
胃腸で作られたエネルギーと全身機能
人間の体は、24時間365日1秒たりとも止まることなく動き続けています。
車の工場を想像してみてください。
各ラインでは、24時間フル稼働で、車を構成するさまざまなパーツを、分担作業で製造しています。
これが体内で起こっているわけです。
一つ違うのは、工場はモノを作りだすために稼働しており、一方、人間の体は生命を維持するために動いているということになります。
胃腸の基本的な働きは、食べ物を消化吸収しエネルギーに換えること。
体内工場の原材料を絶えず作り続ける役割と言えば、わかりやすいのではないでしょうか。
タンパク質や炭水化物、脂質は、胃や腸でアミノ酸や糖、脂肪酸などの物質に分解されます。
その後、肝臓や腎臓などでいろいろな代謝経路を通り、全身へ送り届けられます。
胃腸で食べ物が消化吸収され体の隅々まで行き渡る、というのは理解しやすいでしょう。
しかし、そこに東洋医学の「気・血・水」という考え方を結びつけるのは、なかなか難しいかもしれません。
血は流れているけれど、栄養は血液に乗って流れてるの?水分は?気力は目に見えないよね?そう思われる方も多いのではないでしょうか。
たとえばお鍋の中に食材を入れるところまでが胃腸の働きだとすると、火をつけてかき混ぜるのが、消化吸収で発したエネルギーや気力の役割と言えます。
このように、胃腸は食べ物を消化するだけでなく、生じたエネルギーによって消化吸収の働きを補助します。
さらには、発生した熱エネルギーは全身を温め、栄養や血液・気力を全身に行き渡らせる大事な役割を担っています。
腸活より意識すべき食事の内容
胃腸を整えるには、まず何をしたらいいと思いますか?
たとえば「腸内の細菌を調べて、積極的に発酵食品を摂りましょう」などという話は、最近よく耳にします。
確かに腸内環境を整えることは重要です。
しかし、肉ばかりや野菜ばかりの食事をし続けた場合を考えてみてください。
頑張って腸内細菌を整えても、偏った食事をすると代謝機能のバランスも乱れ、効果も期待できなくなってしまいます。
腸活をしなくても健康な胃腸を維持すること、すなわちバランスの取れた食事が大切です。
それを叶えるのが、東洋医学で言う「食養生」。
「食べ物の性質や効能を活かし、食事を通して生命を養うこと」です。
①旬・地のモノを摂る
②食材を丸ごといただく
③よく噛む
④食べる順番を考える
⑤適切に水を摂る
⑥食事を楽しむ
ここにあげた6項目は、難しいことではなく、わざわざ特別な食材を買ったり作ったりする必要もありません。
心が整うことも健康には重要なので、楽しみながら胃腸を労わる食事をしてみてください。
おわりに
今何が必要なのか、自分の胃腸の声を聞いてみてください。
そして、毎日の食事に「食養生」の考え方を取り入れてみませんか?
きっと体が変わってきますよ。