令和6年度行政書士試験
(記述式 問45 民法1問目)
Aは、海外からコーヒー豆を輸入して国内の卸売業者に販売する事業を営んでいる。
Aは、卸売業者Bにコーヒー豆1トン(以下「甲」という。)を販売し、甲は、B所有の倉庫内に第三者に転売されることなくそのまま保管されている。
Aは、Bに対し、甲の売買代金について、その支払期限経過後、支払って欲しい旨を伝えたが、Bは、経営不振を理由に、いまだAに支払っていない。
BにはA以外にも一般債権者がいる。
この場合に、
Aは、甲についていかなる権利に基づき、どのような形で売買代金を確保することができるか。
民法の規定に照らし、40字程度で記述しなさい。
正解例1
Aは、動産売買の先取特権に基づき、一般債権者に優先して売買代金を確保することができる。
(43文字)
正解例2
動産売買の先取特権に基づき、甲を競売して、一般債権者に優先して売買代金を確保する。
(41文字)
正解例3
Bに催告し、相当期間履行がなければ解除権により契約解除し、甲の返還を求め、Aが売却する。
(44文字)
この問題、BにはA以外にも一般債権者がいる状況で、
Aは、「甲についていかなる権利に基づき」、「どのような形で売買代金を確保することができるか」
と、問われています。
ですから、正解例1と2は「動産売買の先取特権に基づき」、「一般債権者に優先して売買代金を確保することができる」と、答えているわけですが、正解例3は「解除権」により解除して甲の返還を求めて売却する。
何だかおかしい、、、と思い、アンケートにご協力いただいた法学講座受講生の解答と、記述得点を数値化し時間をかけて分析しました。
「おかしい」と感じたのは、先取特権で記述した合格者の得点と、強引に解除権で解答していた合格者の得点です。
「問題45、解除権で書こうと思われましたか?」
との質問に、多くの合格者は、
「問題文に、Bには、A以外にも一般債権者がいるとされ、甲についていかなる権利に基づき、どのような形で売買代金を確保することができるか、と問われている以上、解除でまとめるのは、無理があると思います」と仰います。
過去に高得点で合格された行政書士の方や、知り合いの法曹関係者など、複数の方々に問い合わせたところ、
「問題文の趣旨としては、動産売買の先取特権による解答を求めていると考えられる。BにはA以外にも一般債権者がいるとされ、甲についていかなる権利に基づき、どのような形で売買代金を確保することができるかまでを解答しなければならないから、45文字という制約条件下では、正解例3の解答は出題趣旨から外れているのではないか。仮に部分点があるとしても、出題趣旨に沿った正解例1、2と同等の配点が与えられるのは、いかがなものかと思う。」
という見解が多かったです。
(たしかに正解例3は、無理に文字を詰め詰めにして、かろうじて44文字で、なんとか収まっています。)
しかし、一部の合格者の方は、(「解除」という文言は記載されているけれど)、問題文を無視した解答であるにもかかわらず、なぜだか、(他の解答と総合点から逆算すると)、問45で満点近く得点があると推計され、合計は180点代ギリギリでなんとか合格、という方もおられます。
出題趣旨に沿った解答よりも、問題文を無視した解答のほうが高得点になる、「論理的に説明することが難しい」採点が行われているのではないか、、、という「謎」の採点を踏まえた上で、対策を講じる必要があります。
(※社会人の方など、学習時間が少ない場合の学習方針には注意を要します。令和7年度カリキュラム改訂につきましては、ガイダンスGmail配信をご確認ください。)
令和6年度
社会人受講生
(基本講座と標準講座を受講)
問45は、出題趣旨に沿った答案を書いておられますが、正解例3の合格者よりも、減点率は大きいと考えられます。
択一/ 152点
記述/ 50点
合計/ 202点
記述式の部分点とリスク
↓
(合格者の得点から、論点が記載されていても「文意が通らない、意味が分からない」答案に対する加点はありません。)