毎週水曜日連載中の『教えて!サクラバレエ』シリーズ。
見学や体験レッスンに来てくれた方達が書いてくれたアンケートの質問への答えや、私発信でサクラバレエについてのお話しをしていきます。
15回目の今回は、~年齢について~の続編です。
ちなみに、前回の記事~年齢について2~は、こちら↓
https://ameblo.jp/sakuraballet/entry-12453209830.html
ちなみに、前々回の記事~年齢について1~は、こちら↓
https://ameblo.jp/sakuraballet/entry-12451516091.html
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前回は、年齢的なハードルの一つとして、“目”についてのお話しでした。
今回は“身体”についてのお話しです。
“身体”は年々変化していきます。
1人1人個人差がありますので、一概には言えませんが、特に35歳と60歳が大きな節目のように思います。
年齢を重ねると身体は変わっていきます。
筋肉がつきにくく、落ちやすくなります。
怪我をしやすく、治りにくくなります。
10代、20代、30前半では、ジャンプはすればするほど身体は強くなります。
けれど30代後半以降では、関節に負担がかかるので、ジャンプは必要最小限にした方が良い。
60代に入ると、跳べなくなります。フワフワとしたジャンプになって、逆にケガをするほど跳べなくなります。
トゥシューズを履いて踊る、というのはピンヒールを履いて走るのと同じだと思って下さい。
クラシックチュチュ(一般的なバレエと言ったら…というタイプの衣装です)を履いて踊るというのは、超ミニスカートを履いて踊るのと同じだと思って下さい。
本気でバレエを習うということは、そこに挑んでいくということです。
サクラバレエでは、最低限トゥシューズを履く許可が出るまでに、週2回以上2年以上レッスンをする必要があります。(本当は週3回以上のレッスンを休まず、が理想です)
しっかりとした身体をつくってからでないと、怪我をします。
また筋肉がしっかりとついた脚でなければ、生々しく色っぽくなりすぎるので、クラシックチュチュは履けません。
だからバレエはものすごく訓練を積む必要があるのです。
「姿勢がよくなりたい」とか「痩せたい」とか「可愛い衣装が着たい」なんて甘っちょろいことを言っている場合ではないのです。
5年後、10年後まで残って踊り続けられるのは、最初はそういった動機でバレエを習ったものの、バレエが大好きになり、かなりの根性があり、努力を当たり前のように出来る身体と心が強い人だけです。
ましてや、それが年齢が上がれば上がるほど自然とハードルが上がることは、誰でも理解出来ると思います。
若い頃は毎日でもピンヒールやハイヒールを履きたかった。
脚が長く見えるし、洋服も綺麗に着ることが出来ます。
それが、いつの頃からか、出来るだけヒールの低い靴が履きたくなる。
やがて、スニーカーやバレエシューズなどのフラットシューズしか履きたくなくなります。
膝や腰に負担をかけたくなくなるからです。
若い頃はミニスカートが大好きだった。
今ではミニはおろか、スカートもあまり履かなくなった。パンツばかり。
それがバレエを習って舞台に立つことになって、ピンヒールに超ミニスカートでスポットライトを浴びて舞台に上がる。
同じ役を20代、30代のお嬢さんたちと競う訳です。
それがどういうことかは理解しておいて損はないと思います。
身体も心も強くないと続けることは出来ません。
自分と他人を比べないマインドを持ち、昨日の自分と今日の自分と未来の自分を比べながら自分を育て続ける。
自分の良さもきちんと理解し、他人の良いところを認めることが出来る高いレベルのメンタリティを持っていないと難しいです。
さらに、身体の中には脳も含まれます
バレエは記憶力がとても大切です。
年齢的に上がっていくと記憶力が衰えるというのは誰でも知っていると思います。
そのぶん振り付けを覚えたりすることで苦労することは多いです。
だから年齢が上がり、医者に運動しなさいと言われたから、じゃあ優雅にバレエでも…と思うことが、いかにトゥーマッチか。
何度も言いますが、本気のバレエはそんなに甘いものではありません。
バレリーナはアスリートなのです。
心も体もとても強い。
どうしてこんな嫌なことを言うのかと言うと。
サクラバレエでは大人でもバレエを本気で教えてもらえる、一人一人丁寧に教えてもらえる、とよく言われるのですが、それは逆に言えば年齢に関係なく、全員が同じレベルを要求されるということなんです。
「あなたは年齢が高いから、これはしなくてもいいですよ。」だとか、
「あなたの歳ではトウシューズ履かなくてもいいですよ」だとか、
「まさかその歳でチュチュを着たいなんて言いませんよね?」だったり、
「あなたはケガしたくないでしょう?だからジャンプはしなくても良いですよ。」だとか、
「あなた達は長い振り付けは覚えられないから諦めてもいいですよ、簡単なやつにしておきましょう。」とか、そういう風にはならないわけです。
全員がトゥシューズを履くことを目指す。
全員が上手になることを目指す。
「歳だから」という言い訳が通用しません。
何歳でも手加減してもらえません。
それでも大丈夫ですか、ということです。
これはうちだけがそうではなく、バレエとはそういうものです。
ただ、一般的な子供が中心のバレエ教室では、大人は全員まるっとひとくくりで
「あなたたちは歳だからこれはやならくて結構です。」となっている訳です。
発表会、出なくていいですよ。だって歳だから。
トゥシューズ、履かなくて良いですよ。だって大人だから。
上手にならなくてもいいですよ。だって年齢が高いから。
振りが憶えられなくてもいいですよ。後ろの方で立っていて下さいね。だって、歳だから。
これが、今の一般的なバレエ教室の大人に対する考え方です。
無理をしなくていいよ、って言ってくれる代わりに、色々なことをする権利、色々な役を踊る権利はありません。
挑戦するチャンスも与えられません。
サクラバレエは
発表会、出ましょう。
トゥシューズ、やる気があるなら履きましょう。
上手になりましょう。
振りも憶えましょう。
と、言われる訳です。年齢に関係なく。
これは実はとても厳しいことなのです。
権利を与えられる代わりに、やることをやる必要があります。
努力をする必要があります。
クラシックチュチュを着たい?OKですよ。
その代わり、妖精さんに見えるように踊って下さいね。
美魔女たちのように、年齢不詳になって下さいね。
生徒にあわせてレベルは下げません。
バレエにあわせて、自分のレベルを上げてきて下さい。
それが、クラシックバレエです。
それが、サクラバレエです。
あなたは、本気でバレエを習いますか?
サクラバレエで大丈夫ですか?
ということを確認するために、こういったお話しをしています。
◇
少し長くなりますが、もう少しおつきあいください。特にスタジオ生たち。
もしかしたら、スタジオ生の中には、前回・前々回の記事を読んで、
「せ、先生はもしかしたら私に“若くない人はやめて下さい”っておっしゃりたいのかも…それをブログを通して書かれているのかも…」
「バレエは若くないと出来ないから、さっさとあきらめなさいとインターネットを通して先生は私たちに伝えてらっしゃるのかしら。」とドキドキしている人も、いるのではないでしょうか。(うちのスタジオ生達はみんな真面目なので)
いえいえ、そうではないんですね。
このシリーズは、これからバレエをはじめる方に向けてお話ししていることが前提ですので、うちのスタジオ生達に対して言っている訳ではないのです。
私はこれまでも何かあればまず一番に、“生徒本人に直接目を見て伝える”ということを大切にして来ていることは皆さんよくご存じではないでしょうか。
ですから、「もしかしてこれは私のこと」と思った人は、そうではありませんので、安心して下さいね。
うちの生徒達は、皆バレエが大好きです。
ありがたいことに、彼女達はサクラバレエのことも私のことも大好きでいてくれています。
今年のゴールデンウィークも皆が旅行に行ったり、遊んでリフレッシュ出来るように、とうちにしては長めおお休みにしていたのですが、
「ゴールデンウィークは仕事がお休みだから、沢山レッスンに来れる!と思って燃えていたので、ショックです…」
「ゴールデンウィークのどこかで、レッスンありませんか?」と口々に…。
そこで、一日中踊るイベントを企画中なのですが、これって普通の人から見たら、摩訶不思議なお話しなんですよ。
バレエは月謝の場合は基本的にお休み出来ませんから、せめて年末年始とゴールデンウィーク、お盆くらいはレッスンお休みにするから、どうぞおおっぴらに休んで下さい!ということになっているのですが、みんな少しでも時間が出来たらレッスンしたい。
出来ることなら毎日レッスンに来たい。
出来ることなら朝も昼も夜もレッスンに来たい。
何なら、スタジオに住みたい。
それくらいバレエに向いているエネルギーが強いんですね。
だけど、そこまで夢中になっていない人にとっては、
「・・・なぜ?」なんですね。
先々週からお話ししているのは、『年齢が上になるにつれて、バレエを習う、バレエが上手になることを目指すというのは、それだけバレエにエネルギーをかける必要があるということですけど、大丈夫ですか?』というテーマなのですが、うちのスタジオ生達はもうすっかりバレエにハマっていますから、そんなことはへっちゃらなんだと思いますので、こちらの記事は参考程度にどうぞ。
好きになると人ってどんなことでも出来るんですよね。
ただ、こうは思いませんでしたか?
「バレエって楽しい!ただ、バレエがこんなに大変なこととは、こんなに大ごとだとは思わなかった。」と。
バレエが好きで習いはじめた人はともかく、『本当はバレエに興味がない人』たとえば、ダイエットのため、姿勢をよくするため、運動不足解消のためにうっかりバレエを習ってしまった人は、このことに驚愕するんですね。
実はうちのスタジオ生の35歳以上の人達はいつも私がこういう話をしたり、身体づくりのことを言うので、ほとんどの人が『バレエのための身体づくり』をしています。
スタジオまで歩いてきたり、自転車で来たり、ヨガやピラティスをバレエのために習ったり、パーソナルトレーナーについたり、ジムに通ったり、整体やカイロプラクティック、鍼灸院に通ったりしています。
そんなスタジオ生達にとってはすべて当たり前のお話しですが、さあ、これから気軽にバレエでも習おうかな!と考えている人にとっては、
「ええっなんてめんどくさい
」「ありえないですわ~」」なお話しなんですね。
だから、これはまだバレエに出会っていなくて、バレエを好きになっていない人に向けて解説しているお話しなんです。
年齢が上がれば少しずつメンテナンスが必要になってくるのは当たり前のお話しだし、それは本人達が実は一番よくわかっている。
そして、だからそこはものすごく努力しています。家でストレッチしていない人がいたら、驚かれるくらいのレベルですからね。
そこはもしかしたら、若い人達の方が少し油断しているかもしれませんね。
つまりこれは、年齢を重ねることを、良い悪いで判断せず、冷静に分析して対応していきましょう!という前向きなお話しなんです。
ドキドキしながらこの記事を読んでいる人達のために、追記しておきますね。
他にも色々お伝えしたいことはありますが、長くなりましたので、また来週お話ししますね!
最後まで読んで下さって、ありがとうございました。