毎週金曜日は『バレエが上手になるために』シリーズと題して、大人がバレエを上手に踊れるようになるためのちょっとしたコツやヒントを紹介しています。
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今週のテーマは、『バランスよく鍛えようⅠ ボディ(体力)編』です。
この場合のバランスは、昔からスポーツの世界などでよく言われている
『心・技・体』つまり、
①メンタル(精神力) ②テクニック(技術) ③ボディ(体力)
のことです。
この3つはバレエが上手になる上で、どれも大切なことであり、お互いに影響しあっているのですが、中でも大切なのが、この3つのバランスです。
バレエのレッスンをていれば、普通はこの3つは、バランスよく成長して行きます。
けれど、思い返してみて下さい。自分がバレエをはじめる前のことを。
大人からバレエをはじめる人の動機の多くが、『運動不足解消』では、ありませんでしたか?
(最近、運動してないな~。何か趣味で体を動かすようなことないかしら?そうだ!昔から憧れていたバレエはどうかしら?最近は大人バレエも流行っているみたいだし、ちょっと見学に行ってみよう♪)
(運動不足でちょっと体がなまってきたな~。スポーツジムに行ったり、走ったりするよりは、昔習っていたバレエを久しぶりにレッスンしてみようかな?昔みたいに本気じゃなくて、気軽な感じでレッスン出来るところがいいな♪)
みなさん、大体こんな感じでバレエをはじめられているのでは、ないでしょうか。
・・・ということは、ですよ。
バレエを始める時点で、『運動不足で体力や筋力があまりない状態』からスタートする人が多いわけです。
「毎日ランニングしてます」、「毎日腹筋してます」、「週に3日はジムに通って体を鍛えてます」「高校時代は陸上部で毎日走ってました。高校卒業と同時にバレエを習います」などという、体がしっかりした状態でバレエをはじめるパターンはあまりないわけです。
いえね、いいんですよ。週に1回のバレエのレッスンを「楽しく運動してま~す」というスタンスで受けている人は。
でも、最初はそんな風にはじめたバレエでも、レッスンしているうちに、(もっと上手になりたいな)と思う人も多いはずです。
今、この「バレエが上手になるために」の記事を読んでくれている人も、多分、いつのまにか、『バレエで運動すること』が目的ではなく、『バレエが上手に踊れるようになること』が目的になって来ているのではないでしょうか。
それなら、『③ボディ(体力)』を、どこかで頑張って、しっかり鍛えて、ブラッシュアップしてあげないと、『①メンタル』や『②テクニック』を習得する時に足を引っ張る困ったヤツになってしまうのです。
『②テクニック』を磨こうと、レッスンを頑張っても、『③ボディ』が弱ければ、すぐに腰や膝が痛くなったり、大きなケガをしやすくなってしまいます。また、回転もジャンプも体幹が弱いとブレるので成功しにくく、力技でやってしまうと、やはりケガをしやすかったり、バレエ特有のしなやかさや美しさが遠ざかってしまったりします。また、『③ボディ』が弱いと、ルルベに立つことも難しいため、レッスン中に立つことに必死になってしまって、「②テクニック』どころではなくなってしまうこともよくあります。バレエ教師は生徒の体を一目見れば、どのテクニックが出来て、何が出来ないのかがわかるくらい、『③ボディ』と『②テクニック』の関係は密接です。
次に、『③ボディ』と『①メンタル』の関係ですが、『③ボディ』が弱いため、せっかくレッスンをしても結果が出ないと、『①メンタル』に影響が出てきます。レッスンに行くのが楽しくなくなって、モチベーションが下がります。
また、『③ボディ』が弱いと、引き締まっった体つきにはなりませんから、自分に自信が持てずに、パフォーマンスに影響が出てしまったり、レッスンの時に体のラインを出すことに抵抗が出てしまうかもしれません。ウェアを着込んだままレッスンしていると、先生にやる気があまりない人なんだと誤解されてしまうかもしれません。
逆に『③ボディ」が強いと、引き締まった美しい身体になりますし、食べても太りにくくなりますから、自分や自分の踊りに自信を持ちやすくなります。
本来は『①メンタル』と『②テクニック』も、とても関係が深いのですが、書けば長くなることと、今回のテーマが『ボディ(体力)編』ということで、今回は省略させてもらって、また次の機会にでも、そのことについては触れられたら、と思います。
このように、③ボディ(体力)はバレエ上達の上でとても重要なのですが、じゃあ、これをどうやって鍛えるのか?ということになります。
大人の身体は年齢や生活習慣、使い方のクセなどによって、1人1人本当に違います。
また、どのようなトレーニングをどのくらいの強度で行えば良いのかも、1人1人違います。
ですから、③ボディ(体力)を鍛えるために一番有効なのは、専門家に1対1で身体を触ってもらいながらのトレーニングです。
ただバレエのレッスンは、その性質上グループレッスンですし、バレエの先生に1対1で教えてもらうためにはプライベートレッスンということになります。
最近はプライベートレッスンをしているバレエ教室も増えてきましたが、そうじゃないところも多いと思います。
また通常、バレエの先生は『②テクニック(バレエの技術)』を教えるプロフェッショナルであって、『③ボディ(体力)』を鍛えるプロフェッショナルではありませんので、体のことは専門に相談出来たり、トレーニングしてくれるプロフェッショナルを自分で見つけておくことも必要になってくるかもしれません。
最近パーソナルトレーニングやマシーンピラティスが流行しているのも、こういったことが背景になっていますし、かかりつけの整体やカイロプラクティックなどを持っている人も増えてきています。
ただ、予算や時間の都合で1対1のレッスンに通うのは難しい場合もあると思います。その場合はヨガやピラティスやフィットネスなどのグループレッスンに出たり、バレエ教室の中で体を鍛えるようなクラスがあればレッスンを受けたり、なければ先生にお願いしたりしてそういったクラスをつくってもらい、そういったレッスンの中で自分の体に意識をしっかりと向けながらトレーニングを行うことも効果があると思います。また、スタジオが開いているようなら、バレエのレッスン前に少し早く行って、腹筋や背筋などの体幹トレーニングを行ってからレッスンを受けることも効果的です。
それから、最もリーズナブルに、道具も使わず、ジムやスタジオにも行かずに簡単に行える体幹トレーニングは、『歩く』ことだということも、お伝えしておきます。
足にあったシューズを履いて、毎日15分~30分歩く!
かかとからつま先に体重移動が出来ていることと、つま先で床が蹴れているかどうかを意識しながら行うとなお効果的です。
いずれにしても、大人バレエで『③ボディ』、特に体幹は鍛えて鍛えすぎということはありません。
私も自分が踊っていた時は、毎月大阪までボディの勉強に行っていましたし、体幹トレーニングは当然毎日、次の日筋肉痛になるまでやっていました。
(自分の体をいじめるって楽しい)
(もうダメ!と思ってからの10回が私を上手にしてくれる)
そんなあぶない感じになってきたら、多分あなたの体には、ブレないしっかりとした軸が出来上がっていることと思います。
そうなるとね、エグザイルメンバーのストイックなトレーニング話を聞くと、(あ~、わかるわかる)と、妙に共感してしまうようになりますよ、きっと。
そこまで体幹を鍛えて、あそこまで踊れるんですよね。
ただ、きちんとした体幹を鍛えられれば百人力なのですが、間違えたところに筋肉をつけてしまったり、『使えない筋肉』を強くしてしまうと、体が重く、見た目はガッチリしているけれど、踊ると動きが硬くて美しくなかったり、ケガをしやすくなってしまいますので、やはり専門家に相談しながら行うことをおすすめします。
ちなみに、そこまで『③ボディ』を鍛えられるようになるためには、『①メンタル』の強さも必要だということを付け足しておきましょう。
このように、『①メンタル』『②テクニック』『③ボディ』この3つは相乗効果で強くなっていくのです。
ちなみに、『②テクニック』を鍛える方法は、そのものズバリ、『バレエのレッスンを受ける』ですから、ここでは省略しますね。
次回は『①メンタル』編。
皆さん、あまり気がついていないんですよね、この『①メンタル』とバレエ上達がどれだけ密接な関係でつながっているのか。
実はとっても深いですよ~。
どう深いのかは、来週をお楽しみに