バレエが上手になるために その⑨ ~バランスよく鍛えようⅡ メンタル(精神力)編 | サクラバレエ 

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サクラバレエは岡山市にある“大人からはじめる本気のバレエ教室です。
ワガノワメソッドに基づいた大人向けカリキュラムで段階を踏んで上達
出来るよう1人1人丁寧に指導しています。未経験の方ぜひどうぞ!
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毎週金曜日は『バレエが上手になるために』シリーズと題して、大人がバレエを上手に踊れるようになるためのちょっとしたコツやヒントを紹介しています。



今週のテーマは、『バランスよく鍛えようⅡ メンタル(精神力)編』です。


先週からのおさらいになりますが、この場合のバランスは、昔からスポーツの世界などでよく言われている

『心・技・体』つまり、


①メンタル(精神力) ②テクニック(技術) ③ボディ(体力)


のことです。


先週は③ボディ(体力)編についてでしたね。


②テクニック(技術)は、バレエ教室で、磨き方を沢山教えてもらっていると思いますので、これを磨きたい人は、とにかく沢山レッスンして下さいね。


今週は①のメンタル編です。


この①メンタル(精神力)と②テクニック(技術)と③ボディ(体力)はお互いに影響しあいますので、②テクニック(技術)を鍛えれば、①メンタル(精神力)に自信がつくなどの良い影響が出ますし、③ボディを鍛えているうちに、コツコツ努力する楽しさを身につけたりして、これもやはり①メンタル(精神力)に直結してくるのは簡単に想像出来ると思います。


また、①メンタル(精神力)を鍛えれば、②テクニック(技術)や③ボディ(体力)を鍛えることが易しくなることも、イメージしやすいと思います。


バレエを習っていれば、この3つはバランスよく鍛えられていきますが、でも考えてもみて下さい。


大人になってからバレエをはじめるということは、ある程度、その人のメンタル、つまり生き方のクセが決まった後にバレエをスタートさせているということです。


ちょっとした事で笑って、泣いて、喜んで、感動して、学んで、吸収して、叱られることにも慣れていた子供の頃とは違って、大人はこれまでの人生で皆、心に何かしらの傷があったり、ちょっとした挫折などを経験しています。

そのため、自分の身を守るために効果的な方法だったり、信念だったり、価値観が形作られてきます。


つまり大人からバレエを始めるということは、その人がその年齢まで生きて身につけてきた色々な物事の考え方や取り組み方、人生における価値観などが、固まってからバレエをスタートさせるということです。


『バレエは心で踊る』と言われるほど、バレエとメンタルの関係は密接なのですが、普通の人は自分以外の人間になったことがないので(当たり前ですが)、ボディもそうですが、メンタルにどんな特徴があって、なにを大切にしていて、どんなクセがあるのかが自分ではわかりにくいものですが、大人の身体が一人一人、運動量や日常の生活習慣などで違うように、メンタルも、その人の生きてきた年月や経験や環境によって、1人1人大きく違います。


この事を自分でわかっていることが、大人バレエ上達のひとつのポイントかなと思います。


バレエが上手になりたくて頑張っていて、スムーズに行っているときは良いのです。


なぜならそれは、その人がこれまでに身につけてきたやり方や考え方や価値観が今の状況にフィットしている時だからです。


そんな時、人はバレエが上手になるために頑張ることを楽しく思えていることでしょう。


ただ、バレエを本気で上手になりたいと思っていれば、思っているほど、人は何かしらの壁に突き当たります。


それはつまり、これまで、自分が慣れ親しんできたやり方を変えて、自分を変えるチャンスが来ている、ということなのです。


例えば、これまでの人生で、一生懸命頑張ることで、成功してきた、つまり、無事に生きてこれた人がいるとします。そんな人は、バレエに対してもとても一生懸命です。努力しますし、バレエ向きの性格と言えるでしょう。けれど、これまでの人生で、一生懸命頑張ってきた、特に、自立心が強くてこれまで一人で色々なことを乗り越えて来たような人は、バレエで壁に突き当たると、自分一人で何とかしようとジタバタします。

ジタバタしながら頑張ると、残念ながら、踊りもジタバタした踊りになってしまいます。

この人は、自分1人で頑張る時期を過ぎて、誰かに助けを求める時が来ているということなのです。

・・・昔の私タイプですね。


また、誰かを頼ったり甘えたりすることで成功体験のある人は、バレエに対しても受身で、誰かが自分を上手にしてくれるのをじっと待っていたりします。

けれど、先生は何十人もの生徒を受け持っているし、一人の生徒と会うのは週に1~2回、1時間ほどのレッスンの時だけ。誰か一人の生徒にくっついて回ったり、レッスンの時に特別扱いするという訳にはいきません。そうなると、やはり自分を上手にしてあげられるのは、自分ということになります。先生はそのサポートですね。

受身のままで踊ると、せっかく上手に踊っていても、誰かに踊らされているような印象で、ふんわりとした掴みどころのない踊りになってしまいます。

こういった人は、誰かを頼ったり甘えたりする自分に対してあまり自信がありませんが、実は自分で色々なことが出来る力と才能を持った人です。

自分から誰かに何かをしてあげたり、与えてあげたり、助けてあげることで成長出来る時が来ているということです。

・・・このタイプは本当に気持ちが優しい人が多いですね。


また、これまでの人生でガマンをすることで成功体験のある人は、バレエのレッスンでもガマンをしていることが多いです。それはイヤだな~と、思ったり、それは違うな~と思っても、ついガマンしてしまいますが、相手はその人のガマンに気がついていないことがほとんどです。そうなると、時には先生やレッスン生とコミニケーションをとることがイヤになったり、バレエのレッスンに行くこと自体が苦しくなってしまいます。

せっかく大好きなバレエなのに、先生やお友達を嫌いになっていきますし、時にはレッスンに行く事自体が憂鬱になってしまったりもします。

ガマンしながら踊るのは、一杯になった押入れの扉を押さえながら踊るようなもの。とってもエネルギーを消費してしまいます。

このタイプの人はガマンしない生き方を手に入れる時が来ているということです。ただもし、そのガマンの先に、ガマンすることで手に入る『夢』や『目標』があるのなら、それは『ガマン』から『忍耐』へと変わりますので、『忍耐』はしても良いと思います。未来のない『ガマン』はしんどいだけですので、やめてしまったら良いと思います。

・・・このタイプの人は『ガマン』をやめると、『情熱的な自分』に気がつく日が来ると思います。


このように、バレエで頑張っても上手にならない時や、壁に突き当たってしまって前に進めないと感じる時は、自分を変えるチャンスです。


ちなみに、うちのスタジオでは、(あ、この人はメンタルの壁に突き当たっているな)と思うと、直接本人に「(壁を乗り越えられない原因は)メンタルですよ。」と伝えるようにしています。


なぜなら、メンタルのことは、自分ではよくわかりにくいという事と、バレエが上手になるために、一生懸命②テクニックや③身体を鍛えるよりは、自分の気持ちと向き合って、自分に正直になって、家族や友人などに相談したり、話を聞いてもらったりして、自分のメンタルのクセを知り、新しい考え方や価値観を取り入れて、はじめて上手になれることを、自分の経験上、知っているからです。



昔の私が、バレエで感じていた壁は、動きに力みがあることでした。


バレエなのに、動きがなんだかギクシャクしているのです。



・・・それは、私自身のメンタル、「手を抜くことは悪いこと」という私の信念から来ていました。


動きから力みをとるためには、力を抜かないといけないのですが、手を抜く=力を抜く=サボってる=悪いことというイメージがあった私は、どうしても力をぬくことが出来ず、繊細な役や妖精の踊りも、力いっぱい、ブンブン踊っていました。



力みすぎて、力まかせに踊っていたいので、回転する時にも軸がとれない。



また、それまでの私の考え方の大きなクセに「あきらめる」ということが出来ないというのがありました。

あきらめる=悪いこと、だと思っていたので、「このテクニックは今の自分には無理だ」「私の股関節は、今はここまでしか開かない」ということを認められれば楽になるし、他の人に花ももたせてあげられるし、今の自分にあった踊りを素敵に踊ることが出来たはずなのに、いつも背伸びして、ジタバタしていましたね。



ジタバタしているので、当然動きもジタバタしています。



あきらめる=等身大の自分を受け入れる。なんだと思います。

それなのに、それまでの私にとっては、あきらめる=自分は出来なかった=自分は無能だ=ダメ人間だ=もうバレエなんてやめてしまえ

と、これがワンセットになっていたので、あきらめるということが出来なかったんですね。

でも、でも本当は『あきらめる』ということ自体には、良いも悪いもないんですよね。



あきらめる=今の自分は出来なかった=それでも挑戦した自分は素晴らしい=いつかもっと上手になったらもう一度挑戦しよう=そんな前向きな自分も素晴らしい=自分のレベルにあったレッスンを受けるようになる=落ち着いてレッスン出来る=余計な力が抜ける=腹がくくれる=軸ができる=柔らかくてしなやかな動きが出来るようになる。



と、こんな感じです。


バレエは1つのきっかけだったのですが、大好きなバレエのためならこれまでの生き方や価値観をかえても良い、と思えたことは私にとってはラッキーな事でした。


とにかくひたすら週に5回も6回もレッスンしていた時には、そんな時間も心の余裕もありませんでしたから、時にはバレエのレッスンを後回しにしてでも、自分と向かい合う時間をつくるというのは大切だなぁと思います。

楽しい作業じゃないので、つい逃げたくなりますけどね。


この他にも、バレエ上達のためのメンタルには、『自分を好きになること』や『楽しむこと』なども大切なのですが、これはもう、確実に長くなることがわかっていますので、また機会があれば書かせて頂けたらと思います。



さて、毎週金曜日にアップしていました、この『バレエが上手になるために』シリーズですが、クリスマス会に向けての準備がそろそろ忙しくなってきましたので、毎週金曜日にアップするのは、今回で少しお休みさせてもらって、また時間が出来たら、再開したいと思います。


いつも楽しみに読んで下さっている方達、ありがとうございます。


皆さんあっての、桜です。


どうか、このブログとも気長におつきあい頂けると嬉しいです。


また時間が出来たら急にアップするかもしれません。


その時はよろしくお願いします。


私も日に日に新しい考え方、新しい価値観を取り入れることに挑戦しています。


皆でたくさんの壁を乗り越えて、スタジオまるごと全員で成長して、これまでにない、新しくて開かれて、生徒と教師が対等で、生き生きと踊ることを楽しめるバレエスタジオになっていけたらと思っています。


何もかもトライ&エラーですが、応援してくれる人達に囲まれながら、そうやって挑戦し続けていけることは、本当に幸せだなと思う今日この頃です。



いつの間にか、季節は春になり、もうすぐ初夏がやってこようとしています。


皆さま、楽しいゴールデンウィークをお過ごし下さいませ。