ALPHA / KIRITO | 安眠妨害水族館

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ALPHA/KIRITO

 

1. THE ULTIMATE BEGINNING「ALPHA」

2. GRAND SCHEME

3. BALANCE

4. REPEAT

5. Gene

6. RITE OF PASSAGE

7. hope

8. 不条理な闇

9. Muddy stream

10. THE SUCCESSOR「OMEGA」

11. DEAR PLUS ALPHA

 

通算4枚目、 Angeloが無期限活動休止となってソロ活動を本格化させてからは2枚目となるKIRITOのフルアルバム。

 

前作「NEOSPIRAL」の頃からコンセプトが決まっていたようで、二部作的な位置づけの作品とのこと。

サウンド面では、いつも通りやりたいことをやっているという印象ですが、作品を重ねる度に地層のように積み上がっていく世界観。

宗教と科学、人類の進化とは切っても切り離せないテーマを、独自の視点で描きあげています。

 

事実上のテーマ曲と言えそうなのが、「THE ULTIMATE BEGINNING「ALPHA」」。

全編がシャウトと言っても良さそうな攻撃力を有していて、ソロになってもなお、バンドサウンドでの凶悪性を更新しそうな予感を与えていました。

続く「GRAND SCHEME」や「BALANCE」は、そのアグレッションにKIRITOさんらしい捻くれた要素を詰め込んで。

戦争という言葉が、我が身に降りかかる可能性も日増しに高まってきている昨今。

彼が描いてきた物語の行き着く先が、凶悪性というキーワードに結びついてしまうというのも、未来が見えているのでは、というKIRITOさんのカリスマ性をより高める結果になっています。

 

もちろん、激しい、重たい楽曲ばかりではなく、歌モノもあれば、マニアック性を高めた楽曲もあり。

極端に偏るでも、バランスを取りすぎて面白味がなくなるでもない、絶妙な構成に仕上がっていますね。

その中でどうしても気になってしまうのは「Gene」。

意味深すぎるタイトルも然ることながら、同じようなギターのリフが繰り返し演奏されていて、なんとも中毒的に響きます。

ずっとワンフレーズで展開する楽曲でもないのに、このアプローチを成立させてしまうのが斬新だったな、と。

 

そして、終盤を飾るのが「THE SUCCESSOR「OMEGA」」。

アルファ・オメガで、"永遠"を意味するワードになることからもわかるとおり、「THE ULTIMATE BEGINNING「ALPHA」」と対になる楽曲です。

コンセプチュアルな意味合いでの本作におけるメッセージを乗せて、本編をクロージング。

やはり攻撃的なアルバムだったな、という印象与えて、ラストに据えたのが「DEAR PLUS ALPHA」なのだから、本当に深い。

永遠の先にある、次のはじまり。

あえてのラブソングにしているのが、ここでは効いていて、かの大科学者・アインシュタインが、最後に娘に宛てた手紙で説いた内容が、"愛のエネルギー"だったというエピソードを結び付けたくなるのは、考えすぎでしょうか。

 

コンセプト作品という意識がなくても、一貫性のある濃厚な世界観を生み出してしまうのが、KIRITOさんの通常営業。

感覚的に聴いても格好良いのですが、深掘りするほど味わいが出る1枚です。

 

 

<過去のKIRITO(キリト)に関するレビュー>

NEOSPIRAL

RAID

INTO THE MIRROR

ANTI-MATTER

「METHOD」「Act」

Hameln