被覆曲集2/中村椋
1. らいむらいと「散り際」
2. 慟哭~doukoku~「人工少女」
3. 病葉~わくらば~「過去性アレルギィ」
中村椋誕生記念"おかげさま"カバーCDとして発表された被覆曲集第二段。
第一弾も自身の誕生日を機に制作・発表していたのですが、その翌年も企画を実現してくれました。
前作と同じく、ライブで無料配布された後、 BOOTHでの最低コストとなる100円+送料で通販でも対応。
しっかり作り込んだ3曲が収録されており、物価が高騰している現代においてもコストパフォーマンスの高さを維持しています。
1曲目は、あんぐらフォークロックグループとして20年活動しているらいむらいとの「散り際」。
テクノ色を強めたチップチューンに仕上げる大胆なアレンジですが、フォーキーなメロディと白塗りピコピコ的なアプローチとの相性は抜群。
大好物だというリスナーも多いのでは、というほどにハマっていましたね。
続く「人工少女」は、慟哭~doukoku~の楽曲を独自に解釈したもの。
こちらは、比較的オリジナルの質感に近づけるアプローチであるものの、もともとデジタルサウンドを主軸に置いたアレンジであるため、テクノ版「散り際」からの流れは悪くありません。
激しさが強化されており、病葉~わくらば~の暴れ曲「過去性アレルギィ」までシームレスに繋がっているのも面白いなと。
三者三様の個性があり、アレンジの方向性もバラバラなのだけれど、ストーリーが見えるのですよ。
普段と異なる顔を見ることができるという点で、注目したいのは「過去性アレルギィ」。
ひたすらにアグレッションを強めて、ズタズタなサウンドに重なるのはシャウトもあれば台詞もあり。
コテコテバンドのお作法に則っていると見せて、徐々にテクノ式の様式美的荘厳さが垣間見えていくのも、椋さんが再構築する意味を感じさせます。
中村家への新メンバー加入に伴い、9月16日のライブをもって育成期間に入ることがアナウンスされている彼。
来年の誕生日に第三弾が発表されるかは未知数ですが、こればっかりは仕方ない。
育成期間中にもベストアルバムの制作が予告されていますし、折り合いをつけて復活してくれる日を心待ちにしています。
<過去の中村椋に関するレビュー>