片想い心中/the Raid.
1. 片想い心中
久しぶりのリリースとなったthe Raid.のデジタルシングル。
5月にYouTubeでMVが公開された後、7月にストリーミング/ダウンロードでの配信を開始。
独りよがりではあるけれど、その一途さが切なさを駆り立てるメロディアスチューンに仕上がっています。
楽曲構成としてはスタンダードで、歌詞から想像を膨らませられるように、というところを第一に考えている印象。
インパクトのあるギミックはありませんが、その分、無駄がなく世界観に没入できるのではないでしょうか。
なんとなく、ヴィジュアル系におけるひとつの方法論になりつつあるなと感じるのが、関西弁による女性詞。
叙事的に淡々と綴るのではなく、話し言葉を歌詞にすることで、感情移入がしやすくなる。
それを突き詰めた結果、方言の中でも圧倒的な市民権を誇る関西弁を用いることで、歌詞というよりも独白に近いリアルな感情であるというニュアンスを込めることが出来るのですよね。
この「片想い心中」でも、主人公の女性が関西弁で胸中を吐露する構成になっていて、踏み越えてはいけないラインまで想いが溢れてしまっていることが、感覚的に理解できてしまう。
声色を使い分けて物語を演出するVo.星七の歌唱にも、成長を感じずにはいられません。
「片想い心中」というタイトルではあるのだけれど、歌詞でもMVでも主人公はひとりでの飛び降りを選んでいるのが、また考察が滾るところ。
死ぬときすら一緒になれない=片想い心中なのか、シンプルに無理心中ということなのか。
直接の描写はないのだけれど、MVでの抱き合う流れから、次のモーションで首を絞めるような気がするのだよな、なんて。
楽曲の設定についての情報はまったく取りに行っていないのだけれど、このまま聴き込んで、自分なりの解釈を固めていきたいなと思わせる1曲でした。
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