パズル/Kneuklid Romance
1. 瞬間の声
2. Flowers
3. 雪の下で
4. Painted time
5. リフレイン
6. 深い青の中で
7. Sing for...you
8. 神風
9. An infinity of the sky
10. 鳥籠の中の彼女
1994年にリリースされた、Kneuklid Romanceの1stフルアルバム。
当時の編成は、Vo.雪乃、Gt.KENICHI、Gt.TETSU、Ba.TATSUYA、Dr.GAZ。
本作は、雪乃さんの在籍期のラストアルバム。
後任のヴォーカリストであるYUTAKAさんの加入後は、ソフト路線に舵を切っていくため、転調や変拍子を駆使してプログレッシヴなスタイルをとっていた初期Kneuklid Romanceの集大成と言える部分もあるでしょうか。
デカダンな世界観と、雪乃さんの歌唱法は、LUNA SEAからの影響を感じる部分。
台無しになってしまうギリギリを攻めた主張の強いアレンジも、そこに通じていると言えそうです。
彼らの特徴は、そのうえで複雑な展開を上乗せして、ドラマティックな流れをもたらしていること。
1曲の中での演奏パターンがとにかく多く、同じメロディでもリズムが異なっていたり、Cメロ、Dメロと、次々と新しいフレーズが飛び出したりと、演奏の使い回しが許されないストイックな構成に。
その結果、6分、7分を超える楽曲も多く出来上がり、ともすれば難解さが先立ってしまいそうな作品となっていました。
しかしながら、彼らの音楽には、シンプルなビートロックにおける爽快感や、妖艶な歌謡曲性もしっかり反映されていて、さほど聴きにくさは感じないのですよ。
むしろ、美味しいところ取りといったところ。
キャッチーなだけでなく、どこかマニアックな音楽を好むという選民思想も働いて、多くのヴィジュアル系リスナーを虜にしていたのも納得の仕上がりなのです。
クラシカルな様式美、煽動的なアグレッション、そこに潜めた王道とも呼ぶべきとっつきやすさ。
3分に満たない暴れ曲「神風」を、聴き疲れしそうなタイミングに持ってきて、振り切ってしまう空気の切り替えもバッチリでした。
唐突なピアノソロで終了するラストの「鳥籠の中の彼女」が象徴するように、最後の最後まで、何を仕掛けてくるのか予想できないドキドキワクワク。
ピースを加えていくことで徐々に全体像が明らかになっていくアルバム構成は、まさに「パズル」といったところです。
メジャー期しか聴いたことがないリスナーが聴いたら、この鋭さ、尖り具合に驚かされるであろう1枚。
<過去のKneuklid Romanceに関するレビュー>