1. 瞬間の声
2. クモオンナノキス
3. Was imitation but…so believe
4. Rayly
5. At last for you(Ballad)
Kneuklid Romanceの1stミニアルバム、「LOVE SONG」。
彼らは、Vo.雪乃さんの在籍期と、後任であるYUTAKAさんの加入後で、大きく音楽性が変化します。
後期の編成でメジャー進出も果たすので、一般的には、そちらのイメージのほうが強いのかもしれません。
本作は、1993年、雪乃さんを擁してリリースされた1枚。
初期のKneuklid Romanceを象徴するLUNA SEAからの影響を色濃く受け継いだ、王道路線です。
疾走感のあるサウンドに、抑揚のないダウナーなメロディ。
その中で、展開を多めに構成していることもあり、ドラマ性が強い仕上がりになっていました。
初期から聴いている古株リスナーが、"ニュークリと言えば、雪乃時代"と口を揃えて言うのも、納得のヴィジュアル系っぷりでしょう。
SEである「瞬間の声」を経て続く「クモオンナノキス」は、配布デモテープから持ってきた代表曲。
ギターの役割分担がしっかりとできていて、様式美に拘りつつも、リードギターが常にメロディを奏でているようなクラシカルなアレンジが魅力的です。
今となっては古臭さを感じさせる部分がなくもないですが、攻撃性を示しながらも、刹那的で美しいな、と。
更にクラシカルに、様式美に、といった印象を深めるのは、「Was imitation but…so believe」。
ザクザクとしたバッキングギターや、ドラム&ベースのリズムに、テロテロとテクニカルなギターを重ねる手法は、これぞヴィジュアル系!といったゾクゾク感を煽ります。
スピード感がある中で、動と静の部分を使い分けていて、メリハリがはっきりしていますね。
音の遊び方も巧みでした。
「Rayly」は、透明感のあるアルペジオから、艶めかしいギターが重なり、途端にスピーディーに変化していく疾走系のナンバー。
わかりやすい激しさがある一方、メロディも主張しており、演奏だけ聴いたときの印象と、歌メロだけ聴いたときの印象とが違ってくる面白さがあります。
盛り上げどころをサビに持ってくるというよりも、組曲的な展開の多さを楽しむ一曲。
キャッチーさには欠けるものの、ひとつひとつのパーツは、気持ちが良いほどの王道テイストであり、繋げ方を工夫するだけで、こんなにオリジナリティが出てくるものなのだな、と感心させられる。
展開が多く、王道プラスαのエッセンスが組み込まれているという点で、初期ニュークリの真骨頂だったのでは。
ラストは、文字通りのバラード、「At last for you(Ballad)」。
ゲストミュージシャンによるピアノを加え、静かで暗い、淡々とした響きが、これまた初期LUNA SEAを彷彿とさせます。
途中で、ドラムやギターなどのバンドサウンドが入ってくると、一気に壮大なナンバーへ。
メロディじたいは、8分を超える尺の割には決して多くないのですが、シンセギターによる泣きのフレーズや、ワンフレーズを繰り返し、これでもかというくらいに盛り上げるラストシーンなど、ドラマティック性は群を抜いているのです。
この「LOVE SONG」で方向感を示し、後にドロップするフルアルバム「パズル」で、早くも集大成を作り上げる初期Kneuklid Romance。
たらればではありますけれど、V系バブルに煽られ、メジャー指向にならなければ、後期の彼らはどうなっていたのでしょうか。
後期のスキルで、初期の音楽性をやっていたら、それこそポストLUNA SEAになれていたのかも。
ちなみに、この作品でドラムを叩いているのは、MALICE MIZERのドラマーだったkamiさん。
当時は、右狂名義です。
後任のドラマーとして次の作品から加入するGAZさんも、ex-MALICE MIZERですので、実質的にはトレードするような形なのですよね。
後期の音楽性からは、マリスとの繋がりは想像できませんが、この時期に見られるクラシカルさがあれば、それも納得なのではないでしょうか。