なぜか、最近、ヴィジュアル系以外のアーティストのレビューリクエストを受けることが多くなってきています。
まぁ、氣志團とか、イエモンとか、メディアによってはV系の枠組みで語られることもある、親和性の高いバンドはわかるのですよ。
実際、ハングリーアングリーや、T.M.Revolutionなんかの、グレーゾーンのアーティストもレビューしてたりしますし。
しかし、たまに、なんでこれを?というものが紛れ込むから困る。
困るんだけど、せっかくだから応えたい。
もちろん、リクエストされたところで、応えられないアーティストもありますし、その確率はV系バンドよりも低くはなりますが、この枠組みで応えていければいいかな、と思います。
- 友だちを殺してまで。/神聖かまってちゃん
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ひとつめは、ベタ枠。
90年代、中二病をこじらせた人たちが拠り所にしていたのが、痛みを激しく叫ぶ、ヴィジュアル系バンドたちだったと思います。
しかし、そのヴィジュアル系バンドがスタイリッシュにキラキラしている昨今、痛がりがティーンズが、新たな拠り所としているのが、こういう狂ったバンドなのかなーと。
歌はとにかく下手、歌詞も下世話。
だけど、だからこそ響く痛み、リアリティを持ったバンド、神聖かまってちゃん。
まさかのメジャー進出後、あっという間に3枚のフルアルバムを送り込んできた彼らですが、やはり最初のミニアルバム、「友だちを殺してまで。」の衝撃が、一番印象的でしたね。
電波ゆんゆん。ぐっちゃぐちゃ。
だけど、キーボードだけが、純粋に美しいメロディを奏でる。
インストバンドだったら、お洒落ぶった人たちが食いつきそうな切ないフレーズが満載なのですが、歌ひとつで台無しにしてしまうカオスっぷりが、かえって癖になるのです。
ボイスチェンジャーで、女声にかえて歌う手法も、斬新。
リスナーが存在を認知してきたこれからが、勝負の時期だと思いますけれど、更なる斜め上っぷりを見せつけてほしいものです。
- 素。(初回限定盤)(DVD付)/阿部真央
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シングル曲の一部しか聴いていなかったので、YUIのフォロワーなのかな、と思っていた時期に、フェスでライブを見てびっくり。
とても格好良いじゃないですか。
すぐにアルバムを入手したところ、これまたヒット。
お気に入りとなっている作品です。
確かに、スタイリッシュなカーリーポップの曲もあるのですが、ロックだった頃の天野月子さんを彷彿とさせるハードなナンバーもあれば、いつの時代だ!?と思わせるようなフォークソングもあり、バラエティが豊富。
しかも、曲によって声色まで変えてきていて、引き出しの多さに感心します。
その中でも、「19歳の唄」のキラーチューンぷりに、ノックアウトされてしまいました。
メリハリがあって、疾走感が気持ち良い。
全体的に、歌詞がダウナーなのも魅力的。
この手のアーティストにしては、暗い歌を歌っているなぁ。
アクセント的に挿入されているフォークチューン、「ストーカーの唄 ~3丁目、貴方の家~」のぶっ飛びっぷりにも、惹かれます。
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イエモンについては、いつか本編でも書けるかな?と思っているので、温存しておきます。
ここで紹介するのは、Vo.吉井和哉さんが、ソロ名義で発表した2ndアルバム。
相変わらず、アダルティで渋いロックンロール。
年齢相応の深み、重みもあり、やんちゃはしなくなったけれど、地に足がついた安定感のある作品に仕上がっているのかと。
あまりスピード感はありませんが、ドライブをしながら聴いてみたり、列車に揺られながら聴いてみるには最高の聴き心地の良さ。
歌詞がどうこう、というのではなく、音に、いろいろな感情が込もっているのですよね。
なんとなく、切なくなったり、楽しくなったり。
シングル曲、「CALL ME」が好きなのだけれど、良い意味で、アルバムの中で目立っていない。
役割のひとつとして、しんみり、誰かを恋しくさせるミディアムナンバーという立ち位置を全うすることに専念しているようで、アルバム全体を通して、位置付けがはっきりしているのが素晴らしい。
ダイナミックな展開を期待する人には、物足りなく感じる部分はあるのかもしれませんが、大人になったら、この作品の良さがきっとわかる。
そんな一枚。
- Boy’s Color (初回限定盤) (CCCD)/氣志團
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そんなわけで、氣志團なのですけれど、邪道ですみません。
僕、氣志團で一番好きな楽曲が、「330」でして。
この曲、ギターの星グランマニエさんがボーカルをとる、言ってしまえば「転換用」の楽曲。
つまるところ、綾小路翔さんと、早乙女光さんが、衣装替えをするときに、楽器隊だけで演奏される曲なのです。
切なくて、マイナーコードで、疾走感がある。
古臭いビートロックを、あえて堂々と演奏するスタイルの氣志團において、唯一の、現代のロキノン系に通用するナンバーと言えば、どれだけ邪道かわかってもらえるかと思います。
これが、本当にツボなんだ。
もちろん、彼らの代表曲である「One Night Carnival」でのスタートは、インパクトが大きいし、本作のキーとなる楽曲「BOYS BRAVO!」も、パンキッシュで、爽快感抜群。
氣志團の王道作品としても、優れた内容です。
だからこそ、邪道が映えるという見方もできるでしょうね。
初心者向けでも、玄人向けでもある。
元不良じゃなくても共感できる、青春の一ページが、ここにあります。
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熱烈なリクエストを受けたので、聴かせていただきました(笑)
見た目も、歌詞も、歌唱力も、王道のアイドル。
だけど、楽曲が少々クセ者揃いで面白い。
モーニング娘。以降のアイドルで見られる、お喋りのような掛け合いや、日常のあるあるネタなどを盛り込んだ身近な歌詞、ポップでキャッチーなサビのメロディなど、アイドルの楽曲として兼ね備えるべき要素は、一通り押さえています。
しかし、その中で、なんとなくクセが強いと感じる理由は、その複雑な展開にあるといっても過言ではないでしょう。
1曲の中で、まったく別の曲かのように、コロっとテンポもリズムも、音使いまで変わってしまう、転調の多さといったら。
普通、アイドルの楽曲って、聴きやすさ、覚えやすさを重視するのではないんでしたっけ?と思ってしまう人もいるでしょうけれど、固定概念をあっさりと打ち崩すチャレンジ精神は、強いオリジナリティとなって、その存在感を高めています。
舞台の上では、これでミュージカルができるのではないかと思わせるほどの、ドラマ性がある。
小さなお友達や大きなお友達だけでなく、より一般層に近い、音楽ファンを取り込んでいる理由も納得できますね。
こういうのを見つけると、音楽って本当に奥が深いよなーと思ってしまいます。
音楽的に凝った、王道アイドルって、ありそうでなかった。
そんな感じで、いくつかリクエストに応えてみましたが、いかがだったでしょうか。
V系以外のジャンルって、普段の情報網では、なかなか触れることができない部分もあるため、リクエストをきっかけに、好きなアーティストが増えることになるのなら、ボール球のリクエストも、ほどほどにあるとありがたいな。
持ってないかもしれないし、購入してレビューするには至らないかもしれませんが、もしかすると、ツタヤで借りてくるくらいはするかもしれません。
ただし、当然ながら、本職はV系レビュアーです。
しっかりと、ストライクゾーンに入ってくるリクエストもお待ちしておりますよ。
<過去のV系以外のCD紹介>