COMMON ERA/NAZARE
1. -JUSTICE-
2. 蘇生
3. PRIDE
4. 「剥愛」
5. far away
6. if
7. 「再鳴」
8. LOSER
9. Deadly
10. 共依存と生まれた執着は…
2022年8月7日、復活ライブの会場で販売されたNAZAREのフルアルバム。
後にオフィシャル通販での取扱も開始されています。
2021年の1月に解散となった彼ら。
わずか1年半での復活劇に、感情的には振り回されたというファンもいたのでしょうが、出来るようになったから動き出すというフットワークの軽さと、やるからには派手にやるというハングリー精神が、むしろ好意的に受け止められているのでは。
結果的には、動き続けていたバンドが次のフルアルバムをリリースする、ぐらいのインターバルで新譜が発表されたのだから、素直に喜んでおくのが吉でしょう。
SE2曲を含む、全10曲。
フルアルバムとしてはコンパクトですが、その分、コンセプチュアルに引き締まった仕上がりです。
重厚なサウンドと、繊細で美しいメロディの掛け合わせ。
音圧で圧倒しつつ、メロディアスな部分での感情表現は、ひとつの壁を乗り越えてより研ぎ澄まされた印象で、この1年半でのアップデートをきちんと完了していましたね。
復活のタイミングがもう少し遅れていたら、活動時のNAZAREのイメージと乖離してしまうか、ひと昔前のエクストリームサウンドに甘んじるか、という選択肢になっていたことを踏まえると、確かに、ここで復活できたのが大きかったのだろうな、と。
再びV系エクストリームシーンを引っ張っるべく口火を切る「-JUSTICE-」から、ドラマティックな展開を見せるリードトラック「蘇生」、キャッチーな疾走ロックを過剰なほどに重装備させたNAZAREの真骨頂「PRIDE」と、序盤から、鬼が出るか蛇が出るかと待ち構えていたリスナーを問答無用でなぎ倒す怒涛の勢い。
最初のセクションで出し惜しみしなかったことが、作品の衝撃度を高めていたのは間違いありません。
アルバムは3部構成のような形式になっていて、SE「剥愛」を挟んで放たれる「far away」と「if」は、本作における歌モノの役割。
表向きな攻撃性に演奏力を向けなくても、こうもエモーショナルになるのものか。
表向きな攻撃性に演奏力を向けなくても、こうもエモーショナルになるのものか。
押し引きにおける"引き"の部分でもセンスを見せつけた形で、全体でのメリハリを強調することにも成功していました。
実験的なSE「再鳴」から繋がる最後の幕は、実験的な要素も取り入れた新機軸。
デジタルな質感を強めた「LOSER」、スピードに全振りして熱狂を駆り立てる「Deadly」と、彼らの進化系を示唆していきます。
そして、懐深く待っているのが、アルバム全体の総括とも言える「共依存と生まれた執着は…」。
どのパートのNAZAREが好みであっても受け皿になりそうな全部盛り具合いですが、これを4分弱にまとめきった構成力が物凄い。
これができるのなら、バラエティに富んだ強烈な個性を、たった10曲でクロージングまで持っていけるのも納得ですよ。
ちなみに、解散時に発表されたベストアルバムのタイトルは「BEFORE COMMON ERA」。
この時点で、「COMMON ERA」の構想はどのぐらいあったというのだろうか。
ストーリーが繋がっていることを、こういった部分から読み取れるようにしているのも、ニクい演出です。
NAZAREの第二章、圧巻のスタートを飾った1枚。
<過去のNAZAREに関するレビュー>