月夜に…/DAT
1. 月夜に…
lepus I~no entity~/DAT
1. lepus I~no entity~
ex-Black Gene For the Next Scene 、ラッコのGt.SAN、 ex-NoGoD、ex-ロマン急行のBa.華凛らで結成されたDATのデジタルシングル。
2022年4月に「LIAR」を発表したと思えば、立て続けに投げ込んできたのが、「月夜に…」と「lepus I~no entity~」。
怒涛の連続リリースで、ベールに包まれていた音楽性が、徐々に浮かび上がってきたといったところでしょう。
前作に引き続き、作詞は君ヶ海市あくい、作曲はSANのクレジット。
暗黙の了解といったところではありますが、ヴォーカリストの正体は、この時点ではまだ公表せず、ということになっています。
2ndシングルとなる「月夜に…」は、幻想的なシンセのフレーズに、ヘヴィーなサウンドが影を落とすミディアムナンバー。
タイトルが象徴的なのですが、月が与える神秘的なイメージと、闇夜のダークな雰囲気の両方が表現されているようで、お洒落に繊細なフレーズを紡ぐところ、重低音をガシガシぶつけてくるところの使い分けが絶妙。
聴かせる楽曲にしては攻撃性も帯びていて、しっかりとバンドとして演奏する意義を示していました。
キャッチーなサビも耳に残り、濃淡を活かして世界観を色濃くした佳曲ですね。
一転して、激しさに吹っ切ったのが、3rdシングルとして発表された「lepus I~no entity~」。
シャウトとも、ガナリともつかない独特な歌唱スタイルで出だしからハードにまくしたてると、立体的な掛け合いやコーラスワークにより、盛り上げに盛り上げたままで突き抜けていきます。
メリハリをつけるのも、テンポを落とすのではなく、ぼそぼそとした台詞調のパートを挿入することで実現。
勢いにブレーキをかけない構成に仕上げているのも、キャリアに裏付けられた巧みさと言えるのかと。
中道的なキラーチューンを打ち出してから、両極端に振った2曲をドロップした形。
狙いとしている方向性と、それを踏まえた守備範囲の広さは、もはや担保されたも同然ですが、それでも未知数と思える底知れなさを感じさせるのですよ。
タイプは異なるも、どちらも力強い歌声が映えるキラーチューンでした。
<過去のDATに関するレビュー>