J-ATX/ジルドレ
1. The End
2. ティタノマキナ
3. JOKER (Album Mix)
4. CODE:Error
5. ZERO ~君への誓い事~
6. Maria (Album Mix)
7. N-system
8. 劣情ハーレクイン
9. 砂浜に散った、心のパラドクス
10. connect
11. あなたのために... (Album Mix)
3rd SEASONに突入したジルドレ。
本作は、満を持して発表されたフルアルバムとなります。
エラーを修復するために、心を探し求める旅を始めるアンドロイド。
AIは、人の心持つことができるか。
荒廃した近未来的な世界観によって展開される、ストーリー性にも注目したい作品と言えるでしょう。
「あなたのために...」、「Maria」、「JOKER」という、初期に発表されたシングル3枚はリテイクヴァージョンで収録。
一方で、4thシングル以降の楽曲は収録せず、救済措置的な手法は取りつつ、コンセプチュアルな作品としてのスタンスは崩さないところに、こだわりが見受けられます。
安易にSEを多用して世界観を構築するのではなく、1曲目から意味深なタイトル、「The End」というミディアムロックからスタート。
インストナンバーとしては、盛り上げどころの7曲目、「N-system」という4分半の楽曲を送り込んでおり、実に天邪鬼だと捉えるべきか、セオリーを無視してでも貫き通したい美学があると捉えるべきか。
いずれにしても、なんだか気になる構成を生み出した時点で、アドバンテージになっているのですよ。
音楽性としては、サイバーなハードロック。
サウンドアプローチとしては、古典的な手法も用いており、シンセの質感やメロディの取り方など、わざとレトロ感を出しているなと思わせる。
コンセプト的には近未来であるので、ある種、逆行しているのですが、それがかえって90年代のSF映画のような味わいを生んでいて、想像力を駆り立てます。
もちろん、メタリックなフレーズやヘヴィーな重低音等、現代的な品質であるべき点は現代的。
言い訳的な意味合いでレトロなV系感を出しているわけではないのも、ひとつのポイントでしょうか。
リードトラックである「ティタノマキナ」が、コンセプト的にも核になっており、キラーチューンとしての資質も十分。
終わりの始まりである「The End」を噛ませ、メリハリを作ってから、この楽曲を届けることで、作品の衝撃性はより強まっています。
ただし、ここで推したいのは、「劣情ハーレクイン」かな。
テクニカルな演奏と、歌謡曲風のメロディ。
展開上、動と静の両方があるのではなく、動と静が同時並行で進行していく絶妙な駆け引きがあり、耳にも残りやすい佳曲に仕上がった。
「N-system」からの繋ぎであることを勘案すれば、2曲目のリードトラックと言えるのかもしれません。
まだまだアレンジに粗い部分もあって、もう少し洗練されていけば、といった部分もあるのだけれど、ポテンシャルは十分。
そこからもう一歩踏み込ませるために、もっと世界観に没入できる材料がほしかったですかね。
シアトリカルな演出も多々あって、あとは解釈に委ねた、というのはわかるものの、彼らのコンセプトについては、共通認識を増やした方が単純に面白そう。
ストーリーの詳細だったり、登場人物の相関図だったり、舞台設定が鮮明に理解できていたら、ついつい深入りしてしまっていたであろう1枚です。
<過去のジルドレに関するレビュー>