残された哀の「カタチ」 / ジルドレ | 安眠妨害水族館

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残された哀の「カタチ」/ジルドレ

 

1. 残された哀の「カタチ」

 

"人の心理、真相、孤独"をコンセプトに活動しているジルドレの6thシングル。

 

Vo.ミロク、Gt.那月、Ba.Lilyによる3人編成。

実在の殺人事件をモチーフにした楽曲を次々とシングル化している彼らですが、本作は、24年前にアメリカで起こった"ジョンベネ殺人事件"がテーマになっているようです。

未解決事件故に、色々と憶測が飛び交っていますが、本作においては解釈や考察は特に含まれておらず、遺族の悲痛な叫びにスポットを当てたといったところでしょう。

 

楽曲としては、6/8拍子のリズムに、ずっしりとした重苦しいサウンドを乗せたロッカバラード。

サビに感情が爆発する展開に、ラストの余韻の部分で新しいメロディを持ってくるなど、ドラマティックな構成が意識されていますね。

クリスマスソングとして捉えるには、あまりにも悲劇的すぎますが、冬っぽさを散りばめており、ジルドレ流の季節感の演出も見られました。

歌声については、力を入れる場面、抜く場面のメリハリが表現として出てくれば、もっと垢抜けるのかな。

ただし、全編において全力で歌っているようなスタイルも、成長過程のバンド特有の衝動性と上手くハマっているので、むしろ期待値を高める要素になっているのかと。

 

もっとも、女性の悲鳴がバックに重なるギミックについては、やや過剰演出気味。

もう少し回数を絞ったほうが効果的になったのでは。

アルバムのリリースも発表され、ますます勢いに乗っていくであろうジルドレ。

1曲入りで1,000円という価格設定は、なかなか挑戦的ですが、配信も同時解禁となっていますので、ライト層はそちらから触れてみるのも手でしょうか。