芸夢/XA-VAT
1. 座-芸夢too無礼
2. 洒落た頭を垂れる髑髏
3. VANG!VANG!
4. VAT-COMMUNICATION
5. 芸夢OVER
XA-VATにとって2枚目となるミニアルバム。
2020年2月のツアーにて先行販売され、5月に一般流通での取扱も開始しています。
2013年のライブを最後に活動を止めていた彼らですが、2018年よりVo.石井秀仁、Gt. Közi、Gt.SADIE PINK GALAXYによる3人編成で再始動。
2020年のツアー後に再度凍結となったものの、置き土産的に残されたのが本作でした。
前衛的なファッション性も相変わらずで、現時点におけるXA-VATの集大成と言えるでしょう。
さて、本作は2曲がインスト、3曲が歌モノという構成。
イントロダクション的な「座-芸夢too無礼」は、その前者でありながら、石井さんの歌唱パートも一部存在。
続く「洒落た頭を垂れる髑髏」へ繋げる働きを見せています。
ラストの「芸夢OVER」もSEですが、スペーシーな世界観と意図的にチープに仕上げたシンセが倒錯する彼ららしいクロージング。
インスト曲もしっかりと存在感を示しているのが、本作がシングルではなくミニアルバムとして成立している要因なのかと。
歌モノは、メンバー3人がそれぞれ作曲を担当しており、個性がわかりやすいのでは。
ゴシックパンク的な印象が強く、無機質なリズムとダークなシンセが特徴である「洒落た頭を垂れる髑髏」はKöziさんの楽曲。
語感重視の歌詞とも案外マッチしており、インパクトは十分ですね。
リードトラックとして据えるならこれ、というオーラを纏っていました。
「VANG!VANG!」は、SADIE PINK GALAXYさんによる四つ打ちチューン。
ギターがザクっと切れ込んでくる等、デジタルの中に正統派のR&Rを見ることができるスリリングさがたまりません。
歌メロとしてはシンプルに抑え、楽曲の景色に溶け込むようなアプローチ。
音源だけでは他の曲と比較して地味かもしれませんが、ライブでの成長を踏まえれば、もっともポテンシャルを感じさせます。
歌モノ3曲目は、「VAT-COMMUNICATION」。
こちらは石井さんが作曲を担当しており、ニューウェーブ感の中に歌謡ポップスが紛れ込むお得意のパターン。
大人の悪ふざけ的なフレーズの挿入も決まっていて、聴き込む楽しさも詰め込まれています。
XA-VATなりのキャッチーさを実現。
ポップな曲で作品を引き締めるという、なんとなく矛盾しているような構成こそ、アート集団である彼らの音楽における醍醐味ではなかろうか。
次回の活動が何年先になるかは未知数ですが、恒常的なバンドではないことが、柔軟なアウトプットに繋がっているのかも。
凍結期間に入っても、数々のプロジェクトを並行している彼ら。
次に集結するときには、更に視野が広がっていることは疑いようがないわけで、いつの日か、再び実験的で完成度の高い作品を届けてくれることを期待して待っていたいと思います。
さすが、サイドプロジェクトのクオリティではないな、と唸らせる1枚。
<過去のXA-VATに関するレビュー>
VIDEO GAYTOIN