橙雨/スキゾフレニカ
1. 橙雨
スキゾフレニカの配信限定3rdシングル。
2021年になって、その存在感を強めつつある彼ら。
発表された「橙雨」は、Dr.-KouKi-さんが作曲を手掛けたミディアムバラードとなっています。
歌詞が記載されているジャケットのアートワークは、よく見ると雨で滲んだようなデザインになっていて、実にお洒落。
サブスク開始までの期間限定で高音質パッケージ版も販売されていました。
阪本知さんのヴォーカリストとしての可能性を、またひとつ広げてきたと言えるでしょう。
美しく繊細に奏でられるピアノの旋律と、情景に溶け込むクリーントーンのギター。
ノイジーな音楽を得意としていた彼が、こんなにも透明感のある楽曲を歌い上げる日が来ようとは。
デュエットのように重なりあう Gt&Vo.幸子さんのあどけない歌声も、切なさの演出として効いていますね。
二人とも淡々と歌っている感はあるのだけれど、そういう会話のようにも聞こえてくるというか。
気が付くと、じんわり、じんわりと心の柔らかい部分に浸透しているのです。
また、終盤に進むにつれて盛り上がっていくギターのフレーズもたまらない。
物悲しくもあり、凛とした力強さもあり。
最初に耳にしたときは、雨の冷たさを連想していたのですが、何度も聴いているうちに、ぼんやりとした温かさも感じることができました。
まるで映画のワンシーンを切り取ったかのように、映像美をサウンドだけで表現してしまった1曲。
<過去のスキゾフレニカに関するレビュー>