SPIDER/SCISSOR
1. KIND
2. 8
3. CLEAR
2005年にリリースされたSCISSORのシングル。
現在ではDで活躍中のBa.Tsunehitoさんが加入したと思ったら、今度は初期メンバーだったGt.GRIFさんが脱退。
その後釜には、ex-pleurのGt.Reenoさんが参加するも、あっという間に離脱してしまい、目まぐるしくメンバー構成が変化していた彼ら。
本作は、その変動期に三部作の第一弾として発表された作品です。
結果的に、Reenoさんが在籍する最初で最後の作品となってしまいました。
「KIND」は、歯切れの良いドラムの気持ち良さと、Vo.MIKIさんの個性的な歌声が絡み合った、SCISSORらしいメルヘンロック。
Mr.ChickenHat Timersで渋いロックスタイルを身に着けているだけに、ポップスという枠組みの中に毒を一滴たらしたようなMIKIさんによる独特なキャッチー性の追求も、今となっては意外性を持って迎えられますね。
「8」も、ダークなギターのリフと、動き回るベースの音色により、不思議なリズム感を創出。
メロディだけを切り取れば、やや物足りなさも出てしまうのですが、「KIND」と「CLEAR」の間に挟まれる中で、バランスをとっています。
この曲がなければ、お互いが正面から衝突していたのではなかろうか。
そして、最後に持って来た「CLEAR」がキラーチューンなのですよ。
シンセギターを巧みに操り、神秘的な印象を強めていくと、緩急をつけて伸びやかに展開。
オマージュ的なフレーズを用いつつ、ポップネスと濃厚な世界観は両立するのだ、とはっきりと宣言していました。
新たな視点が入って、サウンドアプローチの幅が広がっていただけに、Reenoさんが定着しなかったのは惜しかったところ。
この編成でのアルバム作品が聴いてみたかったな、というのも本音です。
<過去のSCISSORに関するレビュー>