- NUMBER CUT/SCISSOR
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1.ニセ恋愛占い師(Ver.トランプの君)
2.咲いたメリーゴーランド
3.『NC』
4.夕暮れの片隅占い師(Ver.夕暮れの僕)
5.From 住人 to イロ。
SCISSORの1stミニアルバム。
ex-ZipangのGRIFさんを中心に2002年に結成されました。
GRIFさんは、途中で脱退⇒引退してしまうのですが、メンバーチェンジを経て、2005年まで活動は続きます。
解散時の編成は、Vo.にMix Speaker's Inc.のMIKI、Gtにex-MiUのシノ、BaににDのTsunehito、Dr.にケミカルピクチャーズの子雲と、各パートに豪華な面々が揃っていました。
本作リリース時は、Vo.MIKI、Gt.GRIF、Gt.シノ、Ba.SEIICHI、Dr.子雲の5人編成。
このバンドが活動していたのは、お洒落系の全盛期。
お洒落系といえば、シャッフルリズムを駆使したジャジーな楽曲、可愛いポップチューンなど、音楽面での特徴をイメージする人も多いと思います。
SCISSORも、音楽性だけで評価してしまえば、数あるお洒落系バンドのひとつということになるでしょう。
しかし、お洒落系の登場前後で変化した部分として、それまでは、圧倒的なパフォーマンスを見せ付けるというのが主流だったV系のステージングが、パフォーマーもファンも、一体化して楽しい空間を作り出すという方向に、ベクトルが移っていったということも忘れてはいけません。
その中で、絶対的な条件でなくなってしまったのが、バンドの表現すべき世界観。
このSCISSORは、そんなお洒落系の文化も踏まえたうえ、世界観を表現することを怠らなかったことに、その他のバンドとの差異化があった。
ダークメルヘンを地でいくような衣装、台詞まわし、楽曲・・・
圧倒される世界観を漂わせながら、フォーメーションを駆使したフリ、パフォーマンス、煽りなど、独自の盛り上がりを構築していきました。
それを、凝縮したのがこの作品。
色とりどりの、だけどどこかコミカルホラーのような、おどろおどろしさがある楽曲たちは、こまっしゃくれた音楽知識なんてなくても楽しめる、共有しやすいもの。
だけど、雰囲気がある、面白さがある。
ファンと盛り上がるためだけの、表面的な音楽でないのが、フレーズの節々から伝わってきます。
いわゆるラジオドラマ(コント?)、『NC』まで、その徹底振りがすごい。
V系のラジオドラマって、無音の中、メンバーやゲストが、棒読みで喋るだけ(しかも、曲との音量バランスが悪い)というのがデフォルトなんですが、これは違う。
SEやBGMも凝っていて、きちんと声優まで使い、演出すべきところを演出をしている。
曲と曲のつなぎめとして、飛ばさずに聴くことができるという意味でも、好印象の内容に仕上がっています。
個人的には、ベタなんですけれど、「From 住人 to イロ。」がツボ。
ストレートな疾走系ナンバーは、これまでのダークメルヘン色は薄まりますが、それを補っても余りあるエンディングテーマにふさわしい高揚感がある。
ナンバーカットシリーズは、3作出ているのですが、キラーチューンであるこの曲があることで、パート1が頭ひとつ抜き出ているでしょうか。
やはり人気作なようで、2ndプレスのリリースもありましたね。
そこそこ知名度のあるバンドでしたが、解散時にベストなども出なかったので、今から遡って聴こうと思うと、まめに中古ショップをチェックするか、ライブ盤などで網羅的に聴くか、どちらかでしょうか。
この手のバンドって、個性が強すぎるため、フォロワーがすぐには出てこないのがさびしいです。
今思い出しても、解散が惜しまれるバンドでした。