視神経 / De-ARK | 安眠妨害水族館

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視神経/De-ARK

 

1. Link

2. 気狂イ自閉ノ少女

 

2000年にDe-ARKがリリースした、3ヶ月連続リリースの第一弾シングル。

 

気味は鋭く。のVo.凌舞さんが在籍。

後にDelta Arkと名義を変更して、方向性を転換する彼らですが、この時期は、猟奇性に振り切ったコテコテ路線の円熟期。

リードトラックとなる「Link」も、テロテロと紡がれるクラシカル+ダークなギターのフレーズからスタートするハードチューンに仕上がっています。

この楽曲の面白いところは、歌詞とギターの演出によりダークな雰囲気を保っている一方で、メロディの展開そのものは王道的なポップロックであること。

爽やかなフレーズを重ねれば、ソフトヴィジュアル系バンドのデビュー曲のような方向にも持っていけそうで、だからこそ、彼らの世界観へのこだわりを見て取れるのかもしれませんね。

 

「気狂イ自閉ノ少女」は、カップリング曲らしく、派手さはないが彼らのスタイルを広げるのに一役買っていたナンバー。

タイトなリズムと、哀愁系にも通じる歌謡メロディが交錯し、タイトなリズムも相まって、随分とスタイリッシュになったイメージです。

歌詞や世界観は引き続きダークに徹底されているのですが、このタイトルから想像する楽曲としては、地味な印象を受けるかな。

もっとも、スキルが追い付いていない部分を、ドロドロしたアレンジ、猟奇性の高い歌い方で隠していた部分があった初期の作品に比べると、こういう楽曲ができるようになったことは成長と言えるはず。

 

なお、初回限定盤はシークレットトラックとして、次回作「マザーグース」に収録される「残華」のライブバージョンも収録されています。

ひとつ前の作品のライブテイクを入れるというのは、よくある手法なのだけれど、次回作の先出しというのは、珍しかったような。

スタイルを崩さない猟奇的な楽曲であることが伺え、従来の音楽性にプラスアルファをもたらそうとした本作の2曲にピンとこなかった層も、次回作まで期待を持続させる効果がありました。

結局は、この作品群を最後に凌舞さん以外のメンバーが総入れ替えとなり、音楽性が変わってしまう彼らですが、ここでブレイクし切れれば、また違った未来があったのだろうか。

集大成と呼ぶには、まだ伸びしろを残していたのに、と思ってしまう1枚。

 

<過去のDe-ARKに関するレビュー>