1. 無告の繭 Episode-1
2. 斬首台ノ丘
3. ざくろ
4. 感覚「S」狂殖
5. Introduction
6. 木漏レ日ノ、「・・・・」
7. 黒イ涙
8. 無告の繭 Episode-2
9. 水繭
10. 血染メノ衣 Hard Re-Mix Version
11. 無告の繭 Episode-3
De-ARKと書いて、デルタアーク。
後に、Delta Arkと表記を改め、ソフトヴィジュアル路線に転向しますが、この頃は見た目通りのコテコテバンドでした。
本作は、1999年にリリースされた1stフルアルバム。
音楽的には、当時全盛期だったツタツタ発狂系です。
残酷な歌詞に、濃いメイク、トールサイズで目立たせたジャケット仕様まで、コテコテバンドのテンプレート。
ついでに、歌も演奏も粗削りで発展途上という、まさに、教科書通りの90年代ジャリバンと言えるでしょう。
要所要所に挿入される「無告の繭」は、単調なシンセの音に、語りを重ね、ストーリーを進めていくという役割のSEなのですけれど、導入部分で早くもダレるダレる。
4分も棒読みが続き、ワクワクを高めるどころか、クールダウンになってしまっています。
そして、本編に入っても、演奏が不安定で、ソワソワが止まらない。
特に、ドラムが音源でもわかるくらいにもたついてしまっているので、作り込みは甘い印象ですね。
演出に振り切りたいのか、丁寧に歌いたいのか、シャウトも判断が悪くて中途半端になっており、やりたいことに技術やら経験やらが追い付いていない印象を受けました。
しかしながら、なんでこんなバンドを紹介するのかと問われれば、それでもツボだからと答えるしかない。
90年代後半にV系シーンにどっぷり浸かった身としては、こんなジャリバン文化こそが青春であり、下手だけど、二番煎じだけど、どうしても憎めないのですよ。
ダークで激しい曲を演っていそうなバンドを、広告や雑誌で見つけてきて、とりあえずどのバンドのCDを買うかを吟味していた時代。
誰もが、限られたお小遣いで、博打みたいな音源漁りをした後、その結果に一喜一憂していたわけで。
だからこそ、課題は多くても、その音楽に少しでも面白さを見いだせれば、何度も聴いてしまえたもの。
このバンドは、そういう意味では目立っていました。
ヴィジュアル面と、音楽性の乖離がなく、想像通りの音楽性だったというのも、当時では重要なポイントだったのですよね。
ジャリバンの素晴らしさを文字で表すのは、不可能に近い。
結局のところ、思い出補正だったり、懐古主義だったりするのでしょう。
それは理解しているので、現代のリスナーには、決しておススメしないのですが、理屈では語れないパッションがあったあの頃を思い出したいリスナーのみなさま、改めてこういう作品を掘り返すのも一興ではありませんでしょうか。