Deep Throat / König | 安眠妨害水族館

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Deep Throat/König

 

1. Camellia

2. deep

3. 蜜溶ける部屋

4. insomnia

 

ex-Sugar、逆しまな歯車を仮面が嗤う。のヴォーカリスト、Lokiさんのソロプロジェクトとして展開されていたKönigの1stシングル。

 

サポートメンバーとして、Phobia、ex-cocklobinのGt.源依織、ex-SaruinのGt.柳、ex-Deshabillz、ex-uBuGoeのBa.時雨、ex-ガゼット、逆しまな歯車を仮面が嗤う。のDr.由寧が参加。

依織さんについてはコンポーザーとしても関わっており、サウンドに古き良き名古屋系の香りがするのは、彼の影響とも言えるでしょう。

本作が発表された2011年は、Lokiさんにとっては、Sugarが解散し、Moreを結成する狭間に落ちている時期。

シーンへの復帰が待たれていたタイミングだけに、このメンバーで音源を出すという発表は、コアなファンからの注目を集めていました。

 

1曲目の「Camellia」は、鳥のさえずりからスタートするインストナンバー。

ヴォーカリストのソロ作品であることを踏まえれば、歌のない5分超の楽曲でスタートするのは異例とも言えるのですが、美しく、だけどどこか不気味さを帯びていて、Lokiさんの世界への誘い役として、しっかり機能しているのではないかと。

いよいよLokiさんの歌声が重なる「deep」は、幻想的なイメージを纏ったまま深く沈んでいく、美麗なミディアムチューン。

ギミックも多く、しっかり力を入れて制作していることが理解できる一方で、ライト層は置き去りにしてもかまわない、とでも言いたげなキャッチーさに媚びない濃密なサウンドは、ミニアルバム「Gantzfeld」と比較して、随分と対象を絞り込んだという印象です。

これが、彼らにとっての"deep"ということなのかもしれないな。

 

よりマニアックに、じわじわ、真綿で首を絞めるように展開されるのは「蜜溶ける部屋」。

ドロドロと不気味に、だけどどこか官能的に。

もっとも深淵に近いところまで辿り着きた感覚を得ると、ラストは、内面の激しさを示す「insomnia」。

テンポとしては速くないものの、他の3曲と比べてドラムに激しさが宿っているようで、メロディのわかりやすさも相まって、キャッチーさを感じます。

総括として、バランスをとるためにバリエーションを広げるようなことはせず、ひたすら、やりたいことを突き通したといったところ。

結局、マニア向けの作品にはなっているのだと思うのだけれど、それにより、のめり込んだというファン層もきっといるはず。

Lokiさんと依織さんのコンビネーションに胸が躍るリスナーであれば、既に9年前の作品ではありますが、聴いておきたい1枚です。

 

<過去のKönigに関するレビュー>

Gantzfeld