Gantzfeld / König | 安眠妨害水族館

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Gantzfeld/König
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1.霜成る月に

2.in chains.

3.落花

4.kryziu kalnas

5.König
6.a cynic


ex-SugarのLokiさんのソロプロジェクト、König。

1,000枚限定、オフィシャル通販でのみ購入できた1stミニアルバム。

プロジェクト名は、"ケーニッヒ"と読みます。


レコーディングメンバーで、全曲のコンポーズも担当する依織さんは、cocklobinのギタリストとして活動中。

ドラムは、ex-the studsの響さんが参加しており、そのメンツから想像するのに違わぬ、名古屋系サウンド満載の一枚に仕上がっています。

Sugarにあったジャジーでアダルティーなテイストは控えめになっていますが、かと言って、近年のラウド寄りの名古屋系でもありません。

ここで展開される、ドーレコ全盛期時代の名古屋系といった、ダーク、ハード、メロディアスの三拍子そろった楽曲たちには、無条件に食指が伸びる人は多いはず。


全体的には、雰囲気たっぷりのミディアムナンバーが多めですかね。

Lokiさんの、低音からしっかり支えるボーカルが、良く馴染みます。

出だしの、「霜成る月に」では、効果的に挿入されるシンセのフレーズが美しく、Sugarではあまり見られなかったキャッチーさも加わっているので、非常に聴きやすくなったな、という第一印象でした。


単に聴きやすくなっただけでなく、世界観どっぷりの楽曲やハードさを際立たせたナンバーが要所要所に配置されていて、バランスもとれている。

特に、陰鬱なナンバーが続いて、こういう方向に進みたいのかとリスナーが思い始めたところで収録されている、プロジェクト名を冠した「König」は、ライブでも盛り上がりそうな激しさがあって、ラストに向けてアッパーに舵を切る役割を十分に果たしています。

ラストに、昂揚感のある「a cynic」を持ってこれるのも、このブリッジが効くからこそ。

最初と最後をキャッチーに仕上げてくるあたり、アルバムの構成上、好印象になりやすいですよね。


90年代への回顧を試みるバンドが増えてきた中、名古屋系だって回顧しても良いじゃない的なアプローチ。

このユニットだからこその個性というのは、まだ探り探りといったところではありますが、この手の音楽を、現代に高いクオリティで再現していれば、ニーズはあるというものです。

もっとも、Lokiさんのソロプロジェクトであるにも関わらず、依織さんの音楽性が色濃く出ているので、継続していくにあたって、ガラっと方向性が変わるという可能性も孕んでいるわけですが。


癖が強くて、ハードルが高かったSugarよりも、初心者向けではないでしょうかね。

ジャケットも含めて、王道の名古屋系。

だからこそ、入手手段が限定的すぎたのは、もったいなかったなぁ。