- 3・2・1/zilch
- ¥3,059
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1.ELECTRIC CUCUMBER
2. INSIDE THE PERVERT MOUND
3. SOLD SOME ATTITUDE
4. SPACE MONKEY PUNKS FROM JAPAN
5. SWAMPSNAKE
6. WHAT`S UP MR.JONES?
7. HEY MAN SO LONG
8. PSYCHE
9. FUCTRACK#6
10. DOUBT
11. POSE
12. EASY JESUS
国境を超えたインダストリアル・ロックバンド、zilchの1stアルバム。
言わずと知れた、ex-X JAPANのhideさんのプロジェクトです。
zilchは「0」の意味であり、スリーブケースに、零の文字が刻まれているジャケットのセンスもさすが。
インダストリアル、メタル、ミクスチャー、ブラックミュージックなど、ジャンルにとらわれない様々な音楽が重った、異次元の音楽が詰まっている。
そのうえで、音質は硬派で轟音。
英詞が中心のため、とっつきにくさはありますが、hideさんらしいポップでキャッチーなフレーズにより、マイルドになっている印象ですね。
洋楽ライクではあるものの、邦楽的でもある。
背伸びして洋楽っぽいのをやりました!という洋楽コンプレックス丸出しのそれではなく、純粋に新しい音楽を追求した結果、こんなのが出来上がりました、といった天然のボーダーレス感が恐ろしい一枚。
それを目的に聴いてはいけないとは思いつつ、触れずにはいられないのは、X JAPANの「DRAIN」のセルフカバー的な位置付けで収録されている「WHAT`S UP MR.JONES?」。
ボーカルが音に埋もれるようなノイジーなミックスにアレンジされていますが、hideさんの頭の中では、こんな風に構想されていたのだなぁ、と想像しながら聴くのも興味深いです。
10曲目~ラストまでの3曲も、hideさんのソロ作品のリメイク。
気を抜くと、まったく別の曲に聴こえてしまうくらいのアレンジ・アイディアは、いったいどこから湧いてくるのだろう。
浮くことなく、しっかりとzilchの世界観に馴染んでいました。
これだけ、洋楽感があるのに、日本語による小ネタを挟んでくるユーモアセンスも痛快。
世界進出を見越してのプロジェクト結成、満を持しての音源リリースといった、志半ばの時期での訃報は、ファンならずとも衝撃的でした。
彼が存命だったら、世界的なアーティストと大成していたのか。
確かめる術がなくなってしまったのは、本当に惜しまれるところ。
意思を汲んだメンバーが、2ndアルバムも作成しておりますが、hideさんが直接関わったオリジナル作品としては、これが最後となってしまいました。
ファンの間では、別プロジェクトではあるものの、hideさんの4枚目のオリジナルアルバムとして捉えられることも多いよう。
hideの死去と重なってしまったこともあり、必要以上に売れてしまったがため、正当な評価を得られなかった部分はありますが、クオリティの高い、先入観なしで聴いてほしい作品です。