3・2・1 / zilch | 安眠妨害水族館

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3・2・1/zilch
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1.ELECTRIC CUCUMBER

2. INSIDE THE PERVERT MOUND

3. SOLD SOME ATTITUDE

4. SPACE MONKEY PUNKS FROM JAPAN

5. SWAMPSNAKE

6. WHAT`S UP MR.JONES?

7. HEY MAN SO LONG

8. PSYCHE

9. FUCTRACK#6

10. DOUBT

11. POSE

12. EASY JESUS


国境を超えたインダストリアル・ロックバンド、zilchの1stアルバム。

言わずと知れた、ex-X JAPANのhideさんのプロジェクトです。

zilchは「0」の意味であり、スリーブケースに、零の文字が刻まれているジャケットのセンスもさすが。


インダストリアル、メタル、ミクスチャー、ブラックミュージックなど、ジャンルにとらわれない様々な音楽が重った、異次元の音楽が詰まっている。

そのうえで、音質は硬派で轟音。

英詞が中心のため、とっつきにくさはありますが、hideさんらしいポップでキャッチーなフレーズにより、マイルドになっている印象ですね。

洋楽ライクではあるものの、邦楽的でもある。

背伸びして洋楽っぽいのをやりました!という洋楽コンプレックス丸出しのそれではなく、純粋に新しい音楽を追求した結果、こんなのが出来上がりました、といった天然のボーダーレス感が恐ろしい一枚。


それを目的に聴いてはいけないとは思いつつ、触れずにはいられないのは、X JAPANの「DRAIN」のセルフカバー的な位置付けで収録されている「WHAT`S UP MR.JONES?」。

ボーカルが音に埋もれるようなノイジーなミックスにアレンジされていますが、hideさんの頭の中では、こんな風に構想されていたのだなぁ、と想像しながら聴くのも興味深いです。


10曲目~ラストまでの3曲も、hideさんのソロ作品のリメイク。

気を抜くと、まったく別の曲に聴こえてしまうくらいのアレンジ・アイディアは、いったいどこから湧いてくるのだろう。

浮くことなく、しっかりとzilchの世界観に馴染んでいました。

これだけ、洋楽感があるのに、日本語による小ネタを挟んでくるユーモアセンスも痛快。


世界進出を見越してのプロジェクト結成、満を持しての音源リリースといった、志半ばの時期での訃報は、ファンならずとも衝撃的でした。

彼が存命だったら、世界的なアーティストと大成していたのか。

確かめる術がなくなってしまったのは、本当に惜しまれるところ。

意思を汲んだメンバーが、2ndアルバムも作成しておりますが、hideさんが直接関わったオリジナル作品としては、これが最後となってしまいました。


ファンの間では、別プロジェクトではあるものの、hideさんの4枚目のオリジナルアルバムとして捉えられることも多いよう。

hideの死去と重なってしまったこともあり、必要以上に売れてしまったがため、正当な評価を得られなかった部分はありますが、クオリティの高い、先入観なしで聴いてほしい作品です。