嘆キ使徒 / 嘆キ使徒 | 安眠妨害水族館

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1.1976ノ生命

2.アトウォーターの係数

3.真南ノ怪

4.残映

5.進化ノ糧

6.私ノ静ム


1997年にリリースされた、嘆キ使徒のデモテープ。

Da'vidノ使徒:aLの前身バンドとして、名前は知っているという人もいるのではないでしょうか。


ボーカルは、ex-Aioria、ex-バビロンのミサさん。

Da'vidノ使徒:aLでは、ベース&ボーカルにコンバートして、後に加入するピエトロさんとのツインボーカルになるのですが、この頃は純粋にボーカリストとして在籍しています。


メンバーは、ほとんどDa'vidノ使徒:aLと同一であるにも関わらず、音楽性はだいぶ違っている。

クラシカルでメルヘン、とても個性的であったダビデに対して、嘆キ使徒は、コテコテのヴィジュアル系サウンド。

所謂、ミサ様節はまだ確立されておらず、ストレートにダークな曲調が聴けるという意味では、貴重な作品かもしれません。


全体的に、ダウナーながらも、メロディアス。

ミサさんの低音の響く声質も相まって、非常にダークでドロドロした印象に仕上がっている。

ツタツタしていて、それなりに激しさのある曲構成であっても、あまりアッパーな雰囲気にならないのが面白いです。

正直、歌は上手くないのですが、個性的な声。

これが無理だって人はいるでしょうけれど、この声がなければ、良くも悪くも注目を集めるバンドではなかったと思うので、結果オーライなのかもしれません。

まぁ、その後、更に個性的な声が、もうひとつ加わるわけですけれど(笑)


ベースが、中音域で軽快なフレーズを弾くあたりは、ダビデの音楽性に通じるところがあります。

まだ、ツインベース編成でなかったため、低音域をカバーすることができず、ペコペコと軽い音になってしまっているのは残念ですが、ミサさんのクラシカルな楽曲のファンとしては、思わずニヤリとしてしまう。


6曲入りではありますが、「アトウォーターの係数」はインスト。

「残映」も、デモ段階であったのか、ノイズで聞き苦しい加工がしてあるかと思えば、途中でフェードアウトして終わってしまいます。

それでも、デモテープとしては十分な内容と言えますが、完成版も聴いてみたかった。


音源としてはレア度が高い「ツ…ラ…ラ」に収録されている「進化ノ糧」、「私ノ静ム」の2曲が聴けるのは嬉しいところ。

しかし、今となっては、デモテープの作品じたいがレア化してしまっているので、なかなか手を出しにくいことには変わらないかな。

クオリティは高くないのだけれど、憎めないバンドでした。