XII[twelve]/Shulla
1. オーロラの果て
2. 豹変
3. サトリ
4. 我
5. 忘れん坊
6. チョコレート
7. 桜に刃
8. ここにあり
9. 白黒の世界
10. チビ
11. コード
12. 在るべき場所
2004年にメジャーデビューを果たしたShulla。
本作は、デビューから半年も経たないタイミングで発表された、メジャー1stアルバムです。
デビュー後に発表した2枚のシングル「白黒の世界」、「チビ」に加え、オムニバスの参加曲であった「オーロラの果て」、「桜に刃」も収録。
インディーズ時代の楽曲は、「茶番劇」シリーズにて再リリースする流れがあったこともあり、メジャー進出というターニングポイントを強く意識した作品になったと言えるでしょう。
シングルは2タイプで、というのが彼らのスタイルでしたが、まだ複数売りが定着していなかった時代、ランキングでは別作品としてカウントされる不運もあって、センセーショナルなデビューとはいかなかった印象もある彼ら。
アルバムが潔い1種売りとなったのは、もしかするとランキング対策の意図もあったのかもしれません。
さて、内容ですが、癖の強い太いシャウトで攻め立てる「豹変」であったり、わざと幼いイメージの声を使う、コテオサ系ど真ん中の「我」であったり、Shullaの代名詞とも言える、シリアスともおふざけとも取れる遊び心を前面に押し出したスタイルの楽曲は健在。
もちろん、それはメジャーに行ってマイルドになったという悲壮感ではなく、フルアルバムにおけるバランスの問題。
個人的な肌感覚としては、むしろ、「豹変」や「我」を、メジャーでやってもいいのだ、という期待感のほうが大きかったのを覚えています。
サウンド的には正統派の楽曲にしても、「チビ」が象徴するとおり、Vo. 海斗さんの言語感覚は残されているので、彼らにこの言葉を用いるのは変な気もするのですが、シーンにとっても、ファンにとっても優等生的な作品に仕上がっていたのではないでしょうか。
あとは、"らしさ"の部分で、キラーチューンを生み出せていれば。
「チョコレート」のような、シーン的には王道ではないけれど、彼らにとっては王道的なコテオサチューンで、もしシングル曲と肩を並べるインパクトを与えることができていたら、本作の評価は、もっと高まっていたと思うのですよ。
良くも悪くも、期待の範疇に収まってしまったことで、1stアルバム特有の衝動性を感じ取りにくかったのも事実。
レベルは高いが、インディーズシーンに登場したときの衝撃は、超えられなかったといったところでした。
<過去のShullaに関するレビュー>