修羅 / Shulla | 安眠妨害水族館

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修羅/Shulla


1. 水恋歌
2. 君から始まるAの唄
3. ガラクタ
4. 矛盾

2003年にリリースされたShullaの2ndミニアルバム。
初回盤5,000枚が完売となったことに伴い、ジャケット違いの通常盤もリリースされています。

コテコテ系とお洒落系。
その両方を掛け合わせたような"コテオサ"文化を定着されたバンドのひとつ、Shulla。
リリースされる音源が軒並み完売していたことや、メジャー進出を果たしたことなどからも、シーンに登場したときの彼らのインパクトの大きさが伺えるでしょう。

本作は、「修羅」というバンド名を冠した作品になるわけですが、彼らの代名詞でもある、ライブで盛り上がれるハードなナンバーは控えめ。
歌モノを中心に構成してきており、これまでに見せてきたShullaの音楽性とは少し違った一面を見せたミニアルバムと言えますね。
この天邪鬼さは、なかなか面白い。

「水恋歌」は、哀愁のある歌謡メロディが印象的。
バンドサウンドが効いていて、スピードも相応にあるのですが、この歌メロもあって、切なさが際立っています。
疾走感がある歌謡曲風の歌モノ。
彼らがこんな楽曲をやるとは意外ではありましたが、それはそれとしてツボなのだ。

哀愁歌謡を更に突き進めて、バラードに落とし込んだのが「君から始まるAの唄」。
Aメロ、Bメロ、サビと、徐々に盛り上がる構成となっていて、ファンの間でも人気が高い楽曲です。
確かに、これは一度聴いたら忘れられないほど綺麗なメロディ運び。
サビの歌メロを聴くたび、Kinki Kidsの「愛のかたまり」を思い出すのだけれど、そこはご愛嬌としておきましょう。

まさかの歌モノ続きということで、その辺りのバランスをコントロールするアッパーチューンが、「ガラクタ」。
Vo.海斗さんの、幼い声や太い声、様々な声色で歌い分ける独特な歌唱法も、ここにきてようやく登場。
これぞ、Shullaといった仕上がりとなっています。
メロディアス性も強いので、それは本作のテーマに合わせてということなのでしょうが、ラストに煽りパートが挿入されていて、カオティックに。
別トラックがはじまったのかと思わせる強引さではありますが、ライブのノリが薄れすぎないようにという配慮なのかもしれません。

ラストの「矛盾」は、再び歌モノ路線。
タイトなバンドサウンドで進行し、サビでは開けるという構成です。
しかしながら、Due'le quartzの「Re:plica」のオマージュなのだろうか、と疑ってしまうくらい、サビから間奏への流れがそっくり。
楽曲としては悪くないのだけれど、リリースの時期を勘案すれば、もう少し工夫が欲しかったかな。

メロディアスさを際立たせた4曲。
好き嫌いを分ける海斗さんのアクの強い歌唱法は、「ガラクタ」に留められており、彼らの作品にしてはマイルドな聴き心地となっているのかと。
自由度を増した楽曲に順応するための慣らしとしては、ちょうど良い作品と言えるでしょうか。

ただし、今から購入するのであれば、本作に加え、「金縛り天国」、「炎上烈火」、「架流空路」のシングル3枚をひとまとめにしたベストアルバム、「【茶番劇】 其ノ参 」のほうがオススメ。
作風としては邪道ながら、楽曲としては佳曲揃いという性質である本作を全曲収録しつつ、Shullaの王道も同時に堪能できる内容となっています。
インディーズ時代の彼らの楽曲は、茶番劇シリーズの最初の3枚でほぼ網羅が可能。
コツコツ集めるのが苦手な人は、これらを手に入れておきましょう。

<過去のShullaに関するレビュー>
行方不明