ソラニハナビ/そろばん
1. 空花火
2. 錆メモリ
ex-ベル、彩冷えるのGt.夢人さんが在籍していたそろばんのシングル。
夏をテーマに制作され、2005年に発表された作品。
翌年には、2ndプレス盤もリリースされています。
収録されているのは、「空花火」と「錆メモリ」の2曲。
どちらも花火がモチーフとして使われていますが、鮮やかさと儚さの象徴ということなのでしょうか。
「空花火」は、昭和歌謡風のメロディからスタートするセツナロック。
動と静のメリハリが効いていて、ノスタルジックなフレーズがドラマティックに展開されます。
「錆メモリ」は、哀愁を残しつつも、バンド感を強調して攻撃性を高めるアプローチ。
サウンド的な差異を作ったうえで、テーマや方向性をすり合わせたことで、たった2曲でコンセプチュアルな空気感を作ってしまったな、と。
当時としては、お洒落系バンドのイメージが強かった彼らですが、こうして改めて聴くと、レトロ感も際立っており、夢人さんのルーツが感じられますね。
Vo.龍寺さんの歌い方におけるアクの強さは、やや聴く人を選ぶポイントか。
音を伸ばすのが苦手な様子で、唐突に歌い尻を切ってしまうため、余韻が残りにくくなっている気がしました。
夏の終わりの甘酸っぱい切なさが世界観の肝なだけに、雑なものとして聞こえてしまったのはもったいないというか。
ただし、若さに全振りしたノスタルジーというのも、ツボにハマるリスナーにとってはたまらないはず。
この個性的な歌い方も、そろばんの一部だったことは事実ですので、お洒落系+哀愁レトロの組み合わせを、一度聴いてみるのも良いかと思いますよ。
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