色彩tree/JOKER
1. 色彩tree
東名阪Like an Edisonのみで販売された、JOKERのクリスマスCD。
2004年に、1,000枚限定でリリースされた作品です。
ex-SCREW、 KHRYST+のVo.BYOさんが、蚪牙名義で在籍。
他のメンバーは、ex-サウイフモノのGt.ノノさん、ex-ν[NEU]のBa.ヒィロさん、ex-オトガデッドのDr.YUKIさんというラインナップで、実質的にHeaRtの前身バンドという捉え方もできるかもしれません。
クリスマスをテーマにした作品ということで、ポップさが際立つ楽曲ですね。
JOKERは、お洒落系ど真ん中の時代に登場し、特性に合わせてコテオサ路線に活路を見出したバンド。
ゼロ年代初旬~中旬に多く見られるギミックは一通り齧っているといったところで、この「色彩tree」についても、急なテンポチェンジや、メロディと台詞や語りを重ねる手法など、当時のシーンを感じる部分が見られます。
特に、振り返ってみて面白いのは、ミクスチャー的なアプローチ。
当時のV系シーンにおいては、ラウドなパートとメロディアスなパートを唐突に繋げることでそれを表現しようとするパターンが多かったのですけれど、この楽曲については、クリスマスチューンを意識しているからか、シャウト等は抑え目になっていました。
その結果、本来であればシャウトが飛び出していたような序盤にて、力を抜いたラップ調のフレーズが飛び出し、なんとなく現代の洗練されたミクスチャーロックに近いものに。
引き出しを広げようとした結果、時代的な旬が永らえたと言えるのでしょう。
個人的には、ポップネスなサビよりも、ひとつ前のメロディ部分での切ない疾走感に惹かれてしまう。
サビだけを明るくして、他のパートとのミスマッチを作り出す、という演出上の効果を考慮したとしても、この流れを維持したまま展開していたらどうなっていたのだろう、と考えたりもしてしまいます。
とはいえ、そもそもこれがBYOさんにとってハマる楽曲だったかと問われれば、難しいところ。
その後に結成したSCREWにて、ラウドでヘヴィーな楽器隊との相性の良さを示してしまっているだけに、ポップなフレーズにはちょっとむず痒さを感じてしまうかも。
もっとも、クリスマスを意識した企画モノの側面も強い1枚。
それらも踏まえて、普段見ることのできない一面をあえて表に出したという意味では、狙い通りなのかもしれませんけれど。
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同窓会/じゅるりと
詳細なレビューは<こちら>
Luinspearの同窓会として、 GOTCHAROCKAのVo.ジュイさんと、ナイトメアのDr.RUKAさんにより発表されたデモテープ。
テーマとしてはLuinspearを意識しつつも、やはり企画モノとしての色が強く、普段とは異なった一面を見せるという意味合いで聴きたい作品となっていました。
その結果、ポップな方向に振れているのも類似しているでしょうか。
一方で、だからといって捨て置けないのも共通しているポイント。
せっかく生まれてきた楽曲たち。
何らかの形で残してくれるというのは、ファンとしては嬉しいものなのです。