真実のオモチャ箱/螺旋ウイルス
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真実のオモチャ箱
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1. でんでん寄生虫
2. 顔無し男
3. けんびきょうざんげのミクロ
4. 腐乱のムスメ
5. 真実のオモチャ箱
6. 反応無し~ウソ
7.
Deshabillzの覆面バンドという位置づけになる、螺旋ウイルス
本作は、1999年にリリースされたミニアルバムです。
事故で他界したDeshabillzのメンバー、美歪さんへの追悼盤として発表。
表題曲である「真実のオモチャ箱」は、インストナンバーではありますが、美歪さんが作曲を担当しています。
後にDeshabillzのベストアルバム「伯牙、琴を破る」にて、「反応無し~ウソ」を除いた5曲が収録されたことを踏まえれば、実質的にDeshabillzの作品としてカウントしても問題はなさそうですね。
ダークで耽美的な音楽性や、グロテスクな歌詞についても、覆面バンドになったからと言って失われることはなく。
強いて違いを挙げるとすれば、非現実性が高かったグロテスクさが、より現実的な変態性に近づいた印象。
「でんでん寄生虫」であれば、寄生虫に侵された人物の精神状況を淡々と描きつつ、その過剰なリアリティにより、リスナーの体にまで痒みや痛みが生じてしまいそう。
「腐乱のムスメ」については、水死体の描写が生々しすぎて、死を甘美で美しいイメージとして捉えがちな当時のV系シーンに警鐘を鳴らしたのでは、と深読みしてしまうほどで、Deshabillzの世界観における肝の部分は、更におぞましい姿に膨らんでいました。
サウンド的には、やや打ち込み色が強まったでしょうか。
あえて無機質に響くように、という意図があったかどうかはわかりませんが、結果的には、リズムが機械的に刻まれることで登場人物のサイコパス性が高まった気がします。
表面的には苦しんでいるように見えるけれど、裏側は冷静沈着。
歌詞とサウンドの相性は、もしかしたらDeshabillz本体よりもハマっていたのかもしれません。
なお、「反応無し~ウソ」については、はじまったと思ったらフェードアウト。
次の空白トラックの後半に、本編が収録されているというギミックがあります。
不気味なギターを背景に、サイコパスの手記といった内容の朗読のみの内容ではありますが、後味の悪さを残すことに大きく貢献しており、彼らの作品であれば切っても切り離せない楽曲でもありました。
ベストアルバムにてほぼ網羅は可能ですので、単独作品にこだわらなければ、無理に手を出す必要はないであろう1枚。
ただし、一度耳にしてしまったら最後。
彼らの存在が求められていたことも納得せざるを得ないインパクトは感じられるでしょう。
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詳細なレビューは<こちら>
復活前の段階で、既にDeshabillzのフォロワーとして名前を挙げられることが多かったMercuro。
まさか、この時代に蘇生するとは、という驚きを持って発表されたアルバム作品です。
蘇生後の活動には、地獄絵のVo.レアさんを迎えており、歌唱スタイルについては、復活前のほうがDeshabillzとは近かったでしょう。
ただし、表現の意味では、レアさんのゴシックホラー的世界観が、彼らのサウンドを、もう一段高いところに押し上げていたのかと。
いずれにしても、猟奇的な歌詞を好むという点など共通項はもともと多く、本作のアクの強さを受け入れられるのであれば、現在のMercuroの進化も見届けてほしい気はしますね。