~新曲、再録盤①~/乙女国家
1. 疑いと不安に押し潰される
2. 御国の為に
2018年10月に無期限活動休止となった乙女国家の会場限定シングル。
新曲と再録曲を掛け合わせた作品で、三部作構成となっています。
本作は、そのシリーズの第一弾。
他の2作は3曲入りですが、こちらのみ2曲が収録されていました。
新曲のみで1枚のシングルにまとめることができたのでは、と思わなくもないですが、メンバー増員前にレコーディングされていた初期の楽曲を再録するニーズも相応にあったのも事実。
活動休止を踏まえて、駆け込み需要を想定したリリースと言えるでしょうか。
新曲である「疑いと不安に押し潰される」は、大胆なリズムチェンジが特徴のアッパーチューン。
レトロなリフに哀愁メロディが重なるので、歌謡パンク路線で進むのかと思いきや、サビに入ると、あえてテンポを落としたダンスナンバーに変貌していきます。
この強引な展開が妙に癖になると言いますか、フックとなってリスナーを引き付けるのですよね。
極端につけられた緩急の差が、不安定な精神状況を表現しているようでもある。
このアクの強さが、実にシングル曲向きといったところ。
カップリングとなったのは「御国の為に」。
2016年にリリースされたシングルからの再録で、彼らにとっての代表曲のひとつ。
完売になっていたことも踏まえて、リテイクされるのも納得です。
和風のシンセのフレーズに、カオティックなシャウト。
サビではしっかりキャッチーに開けていくのですが、全体的に音を押し込めているような節もあり、意図的なのか、偶然か、マニアックな聴き心地も残されているような。
激しさがありつつ、奥深さも感じられる1曲でした。
一筋縄ではいかない構成の2曲。
必ずしもタイプが似ているというわけではないものの、結果的に統一感が生まれているのは狙い通りか。
ボリューム的な喰い足りなさをどう捉えるかですが、インパクトを残すシングルであることは間違いありません。
もったいないのは、活動休止の1~2ヵ月前でのリリース、かつライブ会場限定販売だったこと。
導入ツールとしても機能しそうな作品である一方、手に取ってもらう機会が少ないままで終わってしまいました。
ファンアイテムと言ってしまえばそれまでですけれど、もっと違う形で光を当ててやりたかったな、と思わずにはいられない1枚。
<過去の乙女国家に関するレビュー>