Monster's Theater / Leetspeak monsters | 安眠妨害水族館

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Monster's Theater【ゴシック盤】 / Leetspeak monsters

 

1. Wonderland

2. Welcome to Grave Town

3. Cheeky devil

4. mind control

5. Thunderman

6. Black Cat (Midnight Cat Remix)

7. Jack

8. The wizard said laughing

9. What do you want?

10. Oh, Eliza

11. Crimson Sky

12. Checkmate

13. Turn off the radio!

14. The world is unfair

 

Monster's Theater【ファンタジー盤】 / Leetspeak monsters

 

1. Dawn song

2. Night at the museum

3. Sweet Nightmare

4. Black Cat

5. Dance Dance

6. Dead man’s Love

7. Witch’s House

8. Eat the moon

9. Devour weak self

10. Ghost behind you

11. Good night, moon light

12. Love in the Dark

13. Red-nosed Pierrot

14. Here the march of the ghost

 

2018年にリリースされた、Leetspeak monstersの1stフルアルバム。

実態的に、GLK MUSIC所属前に発表されていた楽曲をコンプリートしたベスト盤となっています。

 

既存曲は、完全リマスタリング。

更には、新曲も追加されていますので、それまでの作品を持っていたとしても楽しめる内容になっているのではないかと。

そして、本作について更に話題性を高めたのは、バージョン違いで双方に収録された「Black Cat」を同一曲とカウントしない前提で、収録曲に被りがないことでしょう。

一部の楽曲が差し替えとなるケースであれば、この時代、珍しくはありませんが、全曲となると稀と言いますか、そもそも2タイプ同時リリースの概念がよくわからなくなりますね。

 

【ゴシック盤】は、ダークテイストを前に出した楽曲、ゴシックホラー色が濃いナンバーを中心に収録。

V系シーンへの転向前の作品で多く固められていることから、もっと耳馴染みのないサウンドを覚悟していたのですが、案外、ここ最近の作品と地続きの音楽性として聴けてしまうものだな、と。

むしろ、「Oh, Eliza」のようなメロディアスチューンが登場して、当時のほうがこっち寄りだったのかもね、という驚きがあったり。

もちろん、「The wizard said laughing」から「What do you want?」への流れなど、本格派のヒップホップやミクスチャーロックの要素が強く出ている楽曲はあって、それを新鮮味として受け入れられる構成の良さもあってのことであるのだけれど。

 

こちらに収録された新曲は、「Wonderland」。

MVも制作されている、本作におけるリードトラックとなるのかな。

ロック、ヒップホップ、レゲエにクワイアパートまであって、色々なジャンルをごちゃまぜにしたような1曲。

シアトリカルで、コロコロと場面が変わっていくのですが、総論としてライブで盛り上がりそう、というわかりやすさも持っているのが面白いです。

演出の中にも現場的なノリが想像できるようになったたり、V系ナイズしたことでの進化だったりするのかも。

 

【ファンタジー盤】は、意外性のある楽曲が多く詰め込まれているような。

ミクスチャーという本質は変わらないのだけれど、ジャジーなもの、クラシックテイストなもの、民族音楽的なものなど、こういう引き出しも持っているのだな、と新たな発見の連続。

「Sweet Nightmare」なんて、MALICE MIZERがやっていてもおかしくなさそうなほど、クラシカルな様式美が意識されているのですもの。

一方で、「Dance Dance」は、"オペラ座の怪人"といういかにもなモチーフを使いつつ、パンキッシュに仕上げていたり、一筋縄ではいかないのだよな。

【ゴシック盤】のコンセプトに合わなかったものをまとめただけ、という捉え方もできるのですが、その結果、多国籍な異国情緒溢れる作品に仕上がっており、これはこれでアルバムとして楽しめるのです。

 

新曲として収録されたのは「Dawn song」。

トップバッターから、やや変化球気味なのだけれど、それが【ファンタジー盤】の異色っぷりを物語っているのかな。

ケルトっぽいテイストがあったかと思えば、スパニッシュな雰囲気も出してきたり、そこにヒップホップ調のメロディが乗る新感覚。

ライブ感とはまた違った肌感覚ではあるのだが、彼ら流のパーティソングなのかもしれません。

 

こうして振り返って過去の楽曲と向き合うと、ゴシックの要素が現在は強く出ていて、ファンタジーの要素はある程度コントロールしているのかな、と考えられます。

ただし、【ファンタジー盤】の楽曲にもシーンとの親和性が高いものは数多く見られますし、もっと前に出す余地はあり。

切り捨てたというよりも、爪を隠している段階だと捉えるのが自然でしょうか。

今後、オリジナルアルバムを制作していくフェーズになれば、効果的な武器となってくれるはず。

 

とりあえず、どちらか片方を買うのであれば、ここ最近の音楽性から広げていきたいのであれば【ゴシック盤】、違うものに触れたいのであれば【ファンタジー盤】となるのかと。

当然ながら、どちらも聴いてこそ彼らの全貌が見えるわけで、金銭的に許すのであれば、どちらも聴いて損はないですよ。

 

<過去のLeetspeak monsters に関するレビュー>

Mixtured night between Life and Death

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