Mixtured night between Life and Death | 安眠妨害水族館

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Mixtured night between Life and Death / Leetspeak monsters

 

1. Greenman

2. Mask

3. Haunted Mansion

4. Countdown

5. Death Eater

6. Ashes to Ashes

 

墓場の街グレイヴタウンからやってきたLeetspeak monstersの2ndミニアルバム。

前作同様に表題が長く、ブログのタイトルにバンド名が入り切りませんでした。

 

冷静に考えて、彼らをヴィジュアル系にカテゴライズしているのは、奇抜なメイクとキャラクター設定のみ。

何でもアリが謳われているシーンではありますが、王道や流行が存在して久しい中、Leetspeak monstersがあっさり受け入れられたことについて、ジャンルの懐の広さを感じずにはいられません。

要するに、ミニアルバム2作品を通して、所謂V系っぽいという言葉で連想するサウンドは、どこにも登場しないのですよ。

 

雑な説明としては、洋楽ライクなラップロック。

過去、V系における洋楽ライクとは、KOЯNやLimp Bizkitのようなラウドなニューメタルサウンドや、ゴス色の強いインダストリアルサウンドという意味で使われてきたのですが、まさか、この手のミクスチャーサウンドとして使う日が来ようとは。

スタートダッシュを飾る「Greenman」や「Mask」といった英詞を多用する楽曲で顕著なのだが、邦ロック界隈ではあまり耳にしないノリや掛け合いが新鮮に映る。

"何か新しい刺激を"と彷徨っていた層が、ここにきて彼らに注目し出したのも頷けるってものです。

 

あえて、そのノリに日本語詞を乗せる「Countdown」も面白い。

トラックの作り方にしても、ヒップホップのそれに近づけていて、かつてのV系バンドたちがタブー視して近づかなかった分野を平気で踏み鳴らしていってしまう堂々たる姿勢には、新しいムーブメントを作り出してしまうようなカリスマ性すら覚えますもの。

 

本作において上手いのは、ちゃんとキャッチーに仕立てるのを忘れていないところ。

本場からの直輸入では成り立たないのを理解して、「Ashes to Ashes」のサビに見られる日本人好みのメロディを織り込んできているのです。

リスナー側の課題として、普段から聴き慣れていない音楽ジャンルのため、曲の違いを汲み取りにくいことが挙げられますが、見透かしたように配慮されているのは、ありがたい限り。

もちろん、シアトリカルな世界観があることで、異文化的なものに対する抵抗感をワクワクに変えているところも、戦略眼として評価したいポイント。

シーンの変更が、彼らにとって躍進のきっかけになってほしいものですね。

 

なお、通常盤には「Death Eater」を追加収録。

 

シリアスでミステリアスな緊迫感と、コミカルなパーティロック。

どちらの要素も持っていて、足りなかったピースが埋まった感覚です。

アートワークにアーティスト写真が含まれていないことも踏まえれば、DVD付きの初回限定盤も捨てがたいのですが、曲の配置に関しては、通常盤をおススメしておきましょうか。

 

<過去のLeetspeak monsters に関するレビュー>

Storyteller in the Strange Night