ONENESS M / SUGIZO | 安眠妨害水族館

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ONENESS M/SUGIZO

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1. 永遠 feat.RYUICHI

2. Daniela feat.Yoohei Kawakami

3. 絶彩 feat.京

4. Rebellmusik feat.K Dub Shine

5. 巡り逢えるなら feat.TERU

6. PHOENIX ~HINOTORI~ feat.Toshl

7. Garcia feat.TOSHI-LOW

8. 感情漂流 feat.辻仁成

9. VOICE feat.清春

10. 光の涯 feat.MORRIE

 

LUNA SEAおよびX JAPANのギタリスト、SUGIZOによるソロデビュー20周年を記念した作品。

それぞれ、異なるボーカリストを迎えてのフィーチャリング・アルバムとなります。

 

RYUICHI(LUNA SEA)、川上洋平([Alexandros])、京(DIR EN GREY)、K Dub Shine 、TERU(GLAY)、Toshl(X JAPAN)、TOSHI-LOW(BRAHMAN)、 辻 仁成、清春、MORRIE(DEAD END、Creature Creature)と、名前を並べるだけで背筋が伸びるラインナップ。

ひとりLUNATIC FEST. といった豪華な面子が揃えられていました。

 

本作において見事な点は、SUGIZOさんらしい宇宙と対峙するようなサウンドは一貫している一方で、ゲストミュージシャンの個性をしっかりと押さえ、魅力を引き出していること。

交流があるアーティストにアプローチしているだけあって、出来上がりまで見据えてオファーしたといったところなのでしょうか。

その意味で、期待どおりに安定しているのは、RYUICHIさんが歌う「永遠」や、Toshlさんが歌う「PHOENIX ~HINOTORI~」。

もともとLUNA SEAやX JAPAN用の楽曲として制作していた背景もあり、やはり馴染んでいます。

壮大さを含みつつ、ロックギタリストとしてのパフォーマンスを見せつけてくれたな、と。

 

特筆すべき楽曲を挙げていくと、まずは[Alexandros]の川上洋平さんがボーカルを担当した「Daniela」。

GLAYのTAKUROさんが作詞をしているという異色のコラボレーションが話題となりました。

SUGIZOさんが表現したい内容を、TAKUROさんが歌詞に起こし、川上さんがリアリティを持って歌い上げる、という役割分担がこれ以上ないぐらいにハマっていて、アグレッシブさとナイーブさを併せ持つ名曲に。

TERUさんが歌う「巡り逢えるなら」も実にツボをついた佳曲ではあるけれど、GLAYコラボ対決としては、こちらに軍配が上がるかな。

 

「絶彩」は、トランスをベースにしつつ浮遊感を纏うSUGIZOさんのサウンドが、京さんが得意とする雰囲気モノの神髄と合致。

それぞれの魅力が最大限に出力された楽曲に仕上がっています。

「Garcia」に参加したTOSHI-LOWさんは、ほぼ語りがメイン。

歌ってほしかったのが本音だが、良くも悪くも驚かせてくれた。

これはこれで彼らしいのではないでしょうかね。

 

キラーチューンと言えるのは、清春さんによる「VOICE」。

コラボレーションの妙という点でのベストトラックは、間違いなくこれでしょう。

ダンサブルなトランスサウンドは、あまり清春さんには結びつかなかったのだけれど、色気のある声質と溶け合うことで、アンニュイな雰囲気が増した。

新たな扉を開いだのでは、と興奮してしまう出来栄えで、これを清春さんに歌わせたSUGIZOさんのセンスが恐ろしいですよ。

最後は、神々しさすら感じさせるMORRIEさんによる「光の涯」でクロージング。

バイオリンの優しい音色が、高らかに響き渡ります。

 

音楽性としては、これまでのSUGIZOソロの総集編といった内容。

サウンド面での実験的要素やチャレンジは少なく、その意味での斬新さはありません。

ただし、間違いなくゲストミュージシャンのポテンシャルを引き出しているのも事実。

より強いアウトプットを、と追及した結果、新たなチャレンジの一環として、このような企画に至ったとも捉えたほうが面白そうですね。

 

これまでは、インスト曲も多く、とっつきにくさがあったSUGIZOさんのソロ作品。

ほぼ歌モノで構成されているうえ、ゲストボーカリストのネームバリューも大きい本作を聴いて、ようやく入門書となり得る1枚が出来た、と飛び上がったリスナーも多かったのではなかろうか。

これを踏まえて、次はどこに向かっていくのか気になります。

 

<過去のSUGIZOに関するレビュー>

TRUTH?