呪ワレシ華ノ生命… / Madeth gray'll | 安眠妨害水族館

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呪ワレシ華ノ生命…/Madeth gray'll

 

1. 呪ワレシ華ノ生命…

 

2000年11月28日、渋谷ON AIR WESTでの公演で配布されたシングル。

Madeth gray'llのシングルCDとしては、最後の作品となります。

 

オリジナルはデモテープに収録。

元の演奏が拙すぎたというのはありますが、メンバーチェンジの影響もあってか、大きくレベルアップが感じられますね。

歌詞は大幅に書き換えられており、オリジナルを聴いていても聴くべき1曲と言えるでしょう。

 

まず、イントロに挿入されたバッハの「小フーガト短調」のフレーズが効いている。

クラシックの有名な楽曲をモチーフにすることで、猟奇的でありながらも耽美な世界観が端的に示され、ヘヴィーなサウンドとも相性が抜群。

ドラマ性を高めることに一役買っていました。

 

Aメロは語り、Bメロでメロディが加わり、サビでツタツタ疾走…

90年代コテコテ系のお手本とも言える構成も良し。

この手の楽曲をやらせたら、やはり彼らに分があります。

 

台詞の内容が差し替えられたことで、ただでさえ濃厚になった歌詞世界は、雰囲気作りとしてバックに挿入されるVo.翡翠さんの呻き声により、更に演出力が強まった。

シャウトこそ控えめではありますが、狂気的な表現は全部盛りといったところで、そのうえでメロディアスな部分もあるのだからたまりません。

どんなに90年代バンドの研究が進み、意図的に似たような楽曲を量産できるようになったとしても、このギミックにワクワクする当時のリスナーの感覚までは、なかなか再現できないのでは。

 

ちなみに、本作が配布されたライブにて、Madeth gray'llは解散を発表。

"重大発表あり"との触れ込みだったため、"解散発表派"と"メジャーデビュー発表派"に分かれて推測が飛び交ったものの、結局は悪い予感が当たった形になってしまいました。

それにしても、インディーズデビューを飾った1stCTの楽曲がラストシングルとなるとは、巡り合わせとは不思議なものです。

 

<過去のMadeth gray'llに関するレビュー>
亡界ノ魔都 ~Entith de marge~
Lucifer ~魔境に映る呪われた罪人達と生命の終焉~

十字架の結末~第二の悲劇~
狂死楽園